TIME LIMIT〜学歴編〜 おまけ

合コンに参加した須本君と櫻井君(櫻井視点)





「櫻井、合コン行かない?」

「行かない」



同期の幸野は合コン大好き男だ。

医師というスペックを利用して、コンパで女からチヤホヤされるのが目的だ。

本当は恋人なんか探してないくせに、それっぽいフリをして楽しんでる最低野郎。

だから当然コイツからの誘いは断るに限る。


「ちぇっ、まぁいいか。須本が来てくれるなら百人力だし」




―――は?




もう一人くらい顔のいいヤツ欲しかったんだけどな〜とか言いながら、医局を出ていこうとする幸野の肩を掴んだ。


「待て。やっぱりオレも行く」

「マジで?やった!」







幸野が男側の幹事を、幸野の大学時代の元カノが女側の幹事を担当しているという今回の合コン。

大学病院の関係者用玄関前で幸野達と待ち合わせ、会場となるレストランに向かった。


「珍しいな、須本が合コン行くなんて」

「幸野が煩くて。いつまで失恋引きずってるんだとか愚痴愚痴…」

「ふぅん…」


須本が大学時代の恋人と別れてから早2年。

ずっと恋愛する気のなかったコイツを、とうとう幸野が口説き落としたらしい。


ぶっちゃけ、今日合コンに来る子達はラッキーだと思う。

須本みたいな好物件が恋愛市場に出回ることなんて滅多にないからだ。

一度彼女が出来たら、そのままゴールインしてしまうことの方が多いからだ。

事実、会場レストランに着くと、相手の女の子達の表情が一気に変わった。


「え、やばっ、カッコよすぎない?」

「今日めっちゃ当たりだね」

「来て良かったー」



3
3で行われた今回の合コン。

まずは男側の自己紹介から入る。


「オレら3人ともT医科大で医師をしてます。循環器科の幸野です

「小児科の須本です」

「産科の櫻井です」


3
人とも26歳。

相手の女の子達も同い年だった。

幸野の元カノは大手ゼネコンに勤めていて、同期の女の子を連れて来てくれたようだった。


「人事部の安井です♪」

「営業部の有馬です」

「秘書室の辻本です〜」



3
人とも色んな意味で結構レベルが高く、話も盛り上がった。

須本は営業部の有馬さんと特に楽しそうに話していた。

そういうオレは秘書室の辻本さんと意気投合する。


「産科って大変そう。もっと他の科にすればよかったのに」

「まぁね。でもやり甲斐は一番あると思ってるよ」


結婚の晩婚化の今、不妊治療で生まれる子供は年々増えてきて20%を超える。

治療の限界への追求が、オレの医師としての永遠のテーマとも言えるだろう。


「でも櫻井さん、もう初期研修終わってるってことは医学部現役合格なんだよね?すごーい」

「そう?オレの大学、8割以上が現役合格だけど。浪人の方がレアだったよ」

「そうなんだ〜どこの大学?」

「どこだと思う?」

「えー、K大?」

K大も受けたよ。行かなかったけど。なぁ須本?」


須本に振ると、

「まぁな。滑り止めだよな」

と返ってくる。


「おいおいおい〜それはオレに対する嫌味か?」

と幸野がツッコミだした。

幸野はK大医学部卒だからだ。






2
時間の合コンが終わった後、解散となった。

もちろん気の合った者同士、各々で二次会に行くことになる。

須本は有馬さんと消えて。

オレは辻本さんと近くのホテルのバーで飲むことにした。


「お医者さんって、やっぱり同僚ナースに手を出したりしてるの?

「はは…、そういう奴もいるけどね。オレは同僚と恋愛ごとは御免かな」

「別れた後が面倒だもんね〜」

「そういうこと」


会話を楽しみながらも見定められてる感じが伝わってくる。

26
歳の女性は、もう遊びで男と付き合うような年齢ではないからだ

当然交際の先にある結婚も視野に入れてくるからだ。

(もちろんオレだって同じだけど)


「櫻井さんは、奥さんには専業主婦を求めるタイプ?」

「そうでもないよ。やりたい事があるなら働いてくれても全然いいかな」

「働きたくなかったら?」

「もちろん専業主婦でもいいよ」

「え〜優しい。お医者さんってやっぱり余裕があるよね。最近共働き前提で結婚したい男ばっかしか周りにいなくて…」

「そうなんだ」

「櫻井さんって今恋人いないって本当?私、立候補しちゃおうかなvv」

「……」









翌日。


「昨日、あの後どうなった?」

と小児科の医局に行って、須本にこっそり聞いてみた。


「んー、とりあえず連絡先は交換したけど」

「好感触?」

「うん、まぁ。話も合うし、また会ってもいいかな」

「へぇ…」

「櫻井は?」

「…正直微妙。医者の妻になりたいだけな気がして…」

「へー」


そうこう話してると、「お前ら〜〜」と幸野が小児科に乗り込んできた。

「もう二度とオマエらは誘わないからな!!」

と怒りながら。


オレらが2人と二次会に行ってしまったので、幸野は元カノと飲み直すハメになったらしい。

元カノにも『あんなイケメン2人連れてくるからwアンタ霞んでたわよ〜』とイジられまくったらしかった。



ちなみに須本はその後、営業部の有馬さんと付き合い始める。

オレの方はというと、秘書室の辻本さんからしつこく連絡が来て困り果てることになる。


もしまた合コンに参加することがあったら、二度と医者とは名乗るもんかと思うオレがいた――

 

 

 

 


END



おまけ(初体験話)

おまけ(元カノ話)

おまけ(マチアプ話)

 


以上、須本君と櫻井君の合コン話でした〜。
須本君が3番目の彼女と出会う例の合コンです。実は櫻井君も参加してたらしいです。
櫻井君はこれ以降、合コンで医者と名乗ることはなくなるそうですよ(笑)