●You are me, I am you 11●





……体がものすごく気持ち悪い……



この感じは昨日感じた射精感。
あれと同じだ。
あともう少しで楽になれそうだったのに、確認作業が終わってしまって……何だか放置された気分。

「進藤…」
「ん?」
「何か…体が変なんだけど…」
「どういう風に?」
「上手く説明出来ないけど……なんか、熱くて、ムラムラするっていうか…モヤモヤしてるっていうか」
「あ〜〜それはだな、体がエッチしたいって悶えてるんだよ。よくあることだから気にするな。エッチすればすぐ収まるから」
「エッチ…?」
「そ、エッチ。セックス」
「そ…そそそんなの…出来ないよ。何言ってるんだ」
「何で?塔矢がOKしてくれたら、すぐ出来るじゃん」
「え…?」

進藤の提案に、僕はキョトンと目を丸くしてしまった。
進藤が裸になった僕の体を目の前に曝す。
女の体を。
今の僕は男の体だ。
つまり……自分の体とセックスすればってことか……?

「ふ…ふふふふざ…」
「ふざけてなんかねーよ。言っとくけどオレだって御免だね。何が悲しくて自分の体とはいえ男とエッチしなくちゃなんねーんだよ。でも、オマエがどうしてもって言うなら考えてやってもいいぜ」
「ぼ、僕は別に…」
「ふーん、じゃあずっとそのままでいるんだな」
「……ぅ」

それはちょっと勘弁してほしい。
早く楽になりたい。
楽になるには本当にこの方法しかないのだろうか。
自分の体とセックスするしかないのか?

だ、駄目だ!絶対駄目だ!嫌だ!
だって僕の体はまだ未経験なんだ!

「大事なバージンなのに…」
「オレとは嫌だって?」
「………」
「あ、そっか。初めはあの直弥とかいう男としたかったのか」
「そ、そういうわけじゃ…」

直弥さんとセックスだなんて…考えたこともない。
だってまだキスだって一回しかしたことないのに…。
セックスだなんて……

「あの直弥って男、何歳なんだっけ?」
「え?26…だけど」
「ふーん、26ってことはやっぱ経験豊富なんだろうな」
「え…」
「どのくらい上手いんだろうな?楽しみだよな」
「……」

ズキッと胸が痛んだ気がした。
そうか…そうだよね。
聞いたことなかったけど、やっぱり今まで他に付き合ってきた女性もいる…よね。
あんなに格好よくて優しくて頭もいいんだし…

「ちゃんと言ってあるのか?オマエの方は男と付き合うのは初めてだって」
「い、言ってないよ…そんな恥ずかしいこと…」
「ふーん。でもエッチすれば即行でバレるぜ?初めてだって。嫌がられるかもな」



――え…?



「ど、どうして…?」
「だって処女って面倒臭いだけじゃん。痛がるだけだし、気遣わなくちゃなんねーし、マグロな奴ばっかだし」
「………」
「ま、嫌われないようにせいぜい頑張れよ」
「………」

ショ…ショックだ。
そういうもんなんだ…。
処女って嫌がられるんだ……初めて知った……


「あれ?何か萎えてきたな」
「え…?」

ショックで一気にそんな気分じゃなくなったのか、僕の下半身は通常サイズに戻ってしまっていた。
体は正直とはこういうことを言うのだろうか。
でも、ホッとした。

「残念。せっかく女のエッチを経験出来ると思ったのに」
「し、進藤!!」
「あ、そっか。どうせならあの彼氏とすればいいのか。初心者のオマエとするよりよっぽど感じられそうだもんな」
「なに言って…」
「そういえば遊園地に誘われてたよな?あれ受けてもいいか?」
「え…?」
「代わりにオレがデートしてきてやるよ♪」
「ふざけるな…。何を考えてるんだ。キミは男とデートなんて嫌だって言ってたじゃないか」
「気が変わった」
「はぁ?」



一体何を企んでるんだ…?







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