●WISH 1●





前々から思っていたが……どうもオレの奥さんは性欲が薄い気がする…。




「ヤらせてくれなかったら浮気するかも」

とオレが昔言っちゃったから、仕方なく相手してくれてるって感じ。


きっと

「さっさと枯れろ!」

とか思われてんだろうな。

オレだってオマエの為に枯れてやりたいさ。

でもまだ一応25だし…。

きっとあと20年は無理かな…?

いや30…?

40?


あーあ…一度でいいからアキラの方からお願いされてみたいぜ…。

一ヶ月ぐらい放っておいたら、いくらアイツでも体が疼くかな?

そしたらアキラの方からしようって言ってくれるかな〜?


……いや、ダメだ。

一ヶ月もしなかったらオレの方が保たねぇ…。









「ってことで、今夜は『おねだりプレイ』をしようぜ♪」

「お休み」

提案した途端に却下され、布団に潜られてしまった。


「わーっ!アキラ寝るなって!ちょっとぐらい構ってくれよっ」

すかさずアキラの布団に忍び込んだ。


「ヒカルっ!何度も言うが、キミのベッドはあっちだ!向こうで寝てくれ!」

「嫌だ。今日はエッチする日だもん。一緒に寝ないと出来ないもん」

「誰がいつそんな日に決めたんだ」

「オレが、今、決めたの」

「……」


こっちを思いっきり睨んでくる。


ふんっ!

オレにはそんな脅し効かないからな!

何がなんでも今夜はオマエの方から求めてもらうぜ!


「…オレ明日から沖縄じゃん?4日は出来ねぇしさ…、その前にいい思い出が欲しいんだよ」

「明日からハードスケジュールなんだろ?余計な体力消費は避けた方がいい」

「セックスは余計じゃねーよ!夫婦愛を存続する為には大事な営みなの!」

今まで背を向けていたアキラがクルッと体をオレの方に向けてきた。


「そんなことしなくても…僕たちの愛は永久不滅だよ」

「あ、やっぱそう思う?」

アキラが可愛い顔で言ってきたので、ついオレもでれっと同意してしまった。


いやいやいや。

待て待て待て。


そうじゃなくて!



「んじゃちょっと愛を確かめ合おうな〜」

アキラに抱き付き、パジャマのボタンに手をかけながら――頬に音をたてて何度もキスをした。

「もうっ!ヒカルっ!いい加減に…――」

アキラの唇をキスで塞ぎ、直ぐさま割って舌を絡めた―。


アキラは昔からキスに弱い。

どんなにイヤイヤ言ってても、反論出来ないぐらい深くて濃厚なキスをすればすぐに大人しくなる。


「…んっ、ん…―」

ほらね。

舌で返してきた。

オレの肩や背中や、果ては頭の後ろに手を回し始めたら――それはもう今夜はしてもいいっていう許しが出たってことだ。


「アキラ…―」

オレの方も手でアキラの体を探って、どんどん煽っていく―。


「…ぁ…っ―」

年々益々感度が良くなってくるこの体にオレはすげー夢中だ。

しっかり大人の女性の体になって、めちゃくちゃ色っぽいしイヤらしいし…―






「………」







しまった…!

またオレの方が誘ってしまった…!

今日こそはコイツにおねだりさすつもりだったのに―!

くそっ!


……でももう遅い……

今更やめれねぇし引き返せれねぇ…!

男は急には止まんねぇんだよ!!








でも…!









「あっ…、ん…―」

理性を少し戻したオレはなるべくコイツの顔を見ないよう、声を聞かないよう、頭で詰碁の問題を考えながら弄り続けた―。

指を中に入れて、徐々に弛めていく―。

胸も唇や舌で弄り続け……とにかく煽りまくった。

そして後は挿れるだけのアキラの気持ちも最高潮になった所で――


――オレは体を離した――


「ん…、ヒカル…?」

火照って潤んだ瞳でオレを見つめてきた。

思わず、うっ…となったが我慢だ!


頑張れオレ!

鬼になれ!


「…オマエがお願いしてくれたら続きしてやってもいいぜ」

「え…?」

しばらくぼーっと荒れた息遣いをしていたアキラだが、ようやく意味を理解したらしく、ガバッと起き上がってきた。


「…ふざけるな……」

「怒っても無駄だぜ!オマエがおねだりするまで絶対に挿れてやんねーから」

アキラの顔がカッと赤くなる。


「べ、別に構わない!もう寝るし!」

そう言って勢いよく布団を被り、再びオレに背を向けてしまった。



「……」

「……」



微妙な沈黙が寝室を包んだ。

オレは自分のベッドに移動し、少し離れた所からアキラの様子を伺ってみる。

相変わらず背を向けたまま、身動き一つしない。

だけどまだ寝てないのは一目瞭然。


そりゃ寝れねぇよな…。

あんだけ体を煽ってやったんだ。

一度イクまで興奮は冷めねぇよな。


その為にはオレに挿れてもらうか、自分で慰めるしかない。

でもオマエは自慰とか出来ねぇだろ?

したことねぇだろ?

しかもオレの前だもんな。

恥ずかしくて絶対に出来ねぇよな?



「ん…―」

アキラが苦しそうに寝返りをうち、オレの方に顔を向けてきた。

一瞬目が合ったが、すぐに逸らして目を瞑ってる。


「…なぁアキラ。辛い?」

「…キミの方こそ……」

「オレは結構慣れてんだよな。我慢すんの」

「……」

「そろそろ観念して言えよ」

「……」

「そしたら直ぐにでも挿れてやるぜ?すげー気持ち良くしてイカせてやるよ」

「変態っ!!」


再びアキラが向こうを向き、上布団に更に深く潜った―。



変態…か。

確かにそうかもな。

でもこういうのって男の夢なんだよ。


抱いて、とか。

挿れて、とか。


やっぱ一度は言われてみたいもんなんだよな!


なぁアキラ…。


言ってくれよ…―















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