●WILLFUL PRINCESS 4●
塔矢が手で顔を覆ってしまった。
指をどんどん下に、奥を探っていって、濡れてきている局部を擦りながらさらに刺激を与えていく―。
脚で微妙に締め付けてきたので、膝頭を掴んで――左右に大きく分けた。
「…ぁ…―」
その羞恥に耐えられないらしく、体をねじって閉じようとしてくる。
可愛い奴…。
そういうのを無駄な抵抗って言うんだぜ?
力任せに塔矢の体を固定して、更に濡れている場所を弄り回した。
「や…っ…、ちょっ…!」
顔をその部分に近付けて、舌でも刺激を与え始めたことから、またしても塔矢がオレの髪を引っ張り出した。
お構いなしに続け、周辺一体がびしょびしょになって、塔矢がぐったりしてきたところで――指をいれた。
「あ…、…ぅ―」
中を探るように掻き回して、徐々にほぐしていく―。
入口のあたりをひろげるように動かして、何度も出し入れを続けた―。
「……っ…―」
指を増やすと少し痛そうな声が上がった。
だけど同じようにしばらく弄っていると、感じているような甘い吐息が口から漏れてくる―。
「…あ……っ―」
更に指を増やすと、塔矢は体を強張らせて、ぎゅっと目を瞑り、唇を噛んだ。
それでも同じように掻き回していくと、荒れた息で呼吸をし、すっかり慣れた指は内部に受け入れられている―。
そろそろ…いいか。
指を全部抜き、更に脚を広げた。
「塔矢…」
口を覆っていた腕を剥ぎ、丁寧に優しくキスをした。
「力抜いてろよ…?」
辛うじて頭を縦に振って頷いたけど、明らかに力んでる。
もう一度首筋あたりからキスをずらしていって、手で局部を全体的に上部だけを掻き回す―。
「…は…ぁ…―」
再び甘い吐息が出た所で、一気に入れにかかった―。
「―ひっ…」
ずいぶん慣らしたつもりだったけど、やはりキツくて途中で止まる―。
体が強張ってるせいもあるけど、やっぱりそれは塔矢が初めてであることを物語っている。
初めてのくせに、こんな、好きでもない男に抱かれるなんて……可哀想だ。
検討と貞操だと検討の方が大事だぁ?!
普通んなわけねーじゃん。
一回でもしちまったらもう処女には戻れねーんだぜ?
傷がつくってことなのに―。
男はさ、やっぱり好きな女には自分が初めてであってほしいもんなんだぜ?
前に他の男に抱かれたことがあるなんて、我慢ならねーのに。
そんな大事な貞操を…こんな簡単に捨ててもいいなんて言うオマエが信じらんねぇ…―。
「あ…ぁっ、ん―」
何度も出し入れを繰り返すとようやく全部入った。
すげぇ熱い…。
微妙に締め付けられて、それがかなり気持ちよくさせてくれている。
「あっ、…ぁっ―…」
欲望のままに動き出すと、ベッドがかなりギシギシと音を鳴らし、塔矢の体がその動きに伴なってマットレスに沈む―。
「―やぁ…っ…」
気持ちが高ぶって来たのか、声もどんどん甘くなってる―。
「あぁ…っ!」
ドクンと内部が動いて、喘ぎ声から吐息に変わった。
それは塔矢が絶頂を迎えたことを表してるんだけど……ごめん。
オレはまだイってない。
体を突き上げ続けるオレをただ機械的に受け止めてくれている。
正気に戻ったらしく、オレの頬に優しく手を伸ばして微笑んでくれた―。
その顔にも欲情したオレは、一度体を動かすことをやめて、唇を合わせた―。
「―…ん…っ…」
この柔らかい唇が堪らなくて、何度もついばんじまう…。
おかしいな…。
体だけの関係だとこんなにキスすることねーよな…。
何かこいつとのキスは堪らなくて…止まらない―。
「―はぁ…は…ぁ…」
離した途端頬にかかる吐息が気持ちいい…。
涙でぐしゃぐしゃになった目が可愛い―。
汗ばんだ額が愛しい―。
頬に優しくキスをして、口が勝手に耳元で囁いた―。
「好きだよ…塔矢―」
塔矢が大きく目を見開いて、オレの背中にぎゅっと手を回してきた―。
…何言ってんだオレ…。
オレってタラシの才能あったのか?
誰にでも好きとか愛してるとか簡単に言っちゃえるのか…?
それとも塔矢が特別なのか―?
「あっ…、…ぁ―」
また動き出した体に、塔矢も反応した。
どんどん気持ちが絶頂に近付く中、最後の仕上げにかかって――更に激しく突き上げた―。
「やぁぁ…っ、ん―」
「…っく…―」
達したオレは思いっきりあの中に溢れさせ、急いで引き抜いた―。
「―…はぁ…」
息を整えて体を起こすと、ようやく正気が戻ってきた―。
まだ外は辛うじて薄暗くて、押し寄せてきた睡眠の波に身を任せることにし、塔矢の上から体を退けた―。
「ひと眠りしようぜ…」
「…うん」
まるで恋人同士のように唇を軽く合わせて、塔矢の横に体を横たわらせた―。
その後こいつが胸に抱き付いてきたもんだから、オレは抱き枕代わりに、こいつを抱き締めて眠ることにした―。
NEXT