●WILLFUL PRINCESS 2●
おい待て…。
今、こいつ何て言った?
泊めろとかほざかなかったか??
冗談じゃねぇっ!!
「泊められるわけねーだろっ!やっぱ今すぐ帰れ!」
「どうして?!一昨日和谷君達は泊まったんだろ?!なら僕だって泊まってもいいじゃないか!」
「ダメに決まってんだろっ!!オマエは女なんだぞ?!」
「だから何だ!!」
だから何だだって?!
正気かコイツ??!
マジで分かんねーのか?!
「オレは男なんだっ!!」
「そんなこと知ってる!」
「じゃあ帰れ!男と女が一緒に寝れるわけねーだろ!!」
「どうして寝れないんだ!僕は別にソファだって構わない!」
「そういう意味じゃなくて…!」
「じゃあどういう意味なんだ?!」
マジで分かってないと思われる塔矢に、しぶしぶ話すことにした―。
「つまり…だな、間違いが起きるかもしれねぇ…だろ?」
「間違い?」
「オマエを襲っちまうかもしれねぇって言ってんだよっ!」
「どうして?別に僕らは付き合ってもいないし、愛し合ってるわけでもないじゃないかっ」
「そんなの関係ねぇんだよ!!」
「どうして?!あれは愛し合ってる二人がすることだろう?!僕らには関係ない!」
…ダメだ。
マジで分かってない。
コイツって頭いいくせにどうしてこんな簡単なことが分からねぇんだ?!
実はバカなのか?!
つか世間知らずなのか?!
それにしても酷過ぎないか?!
「……あのな、オレら男は別に好きでもない奴でも抱けるんだよ」
「ふーん」
「つまりな、ヤれるんだったら女なら誰でもいいわけ。あ、いや…そりゃあ多少は許容範囲ってものがあるけどな」
「僕は進藤のその許容範囲とやらに入るのか?」
「入るに決まってんだろ!」
「そうか」
そうか…って塔矢さん。
「だからな、オマエが横で寝てたら…ほぼ間違いなくオレはオマエに手を出しちゃうんだ」
「そう」
「……本当に理解してる?」
「してるよ。つまり僕が今日ここに泊まったら、キミは僕を抱くっていうんだろ?」
「そうそう、そういうこと。だからな、帰ってくれよな?」
「嫌だ」
「………」
もうヤダ…。
何こいつ…。
床に倒れこんだオレに向かって、塔矢は信じられない言葉を口にした。
「別に構わないし。キミに抱かれても―」
はい??!
「検討と貞操のどっちを取る?って聞かれたら、僕は間違いなく検討を取る。キミとこのまま検討を続けれるなら、僕は貞操をなくしてもいい」
おいおいおい。
待て待て待て。
「『なくしてもいい』じゃねーよ!そういうことは好きな奴とするもんなの!」
「何を言ってるんだ!今さっきキミは好きな奴じゃなくても抱けると言ったじゃないか!僕だって好きじゃない人に抱かれても別に構わない!」
「はぁ?!オマエいつからそんな尻軽な女になったんだよ!男は誰でもいいけど、女は相手を選ぶべきなんだ!」
「どうして?!そんなの不公平だ!」
「不公平もクソもあるか!それが普通なの!」
「………」
塔矢が納得いかないって顔でこっちを睨んでいる。
何て奴なんだ…。
常識が通用しねぇ…。
昔から変わってると思ってたけど、ここまで酷いとは思わなかったぜ…。
こいつ一度痛い目見ないと分かんねぇ質だな…。
「…分かった。検討続けようぜ。その後泊まってもいい」
「ありがとう」
にっこり笑ってきた。
「――ただし、その後何が起きても後から文句言うなよ?」
「うん、言わない」
「絶対だからな?」
「分かってるよ。しつこいなぁ…」
「よし、じゃあこの163手目からな」
「うん」
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