●W 8●
●○●○● 夜 ヒカル ●○●○●
「こら!社!塔矢に何てことを…!!」
前の観覧車の様子を盗み見てギャーギャー喚くオレを見て、ルルはひたすら苦笑していた――
「あーー疲れたー!」
部屋に戻ったオレは、靴を履いたままベッドにダイブした。
塔矢が何だか落ち着かない様子で、あっちへうろうろ。
こっちへうろうろ。
「座れば?」
とオレが言うと、自分のベッドの端にちょこんと腰掛けていた。
「……なぁ」
「な、なに?」
「気持ちよかった?」
「?…何が?」
「社とのキス」
「………」
思い出したのか、ボッと彼女の顔が茹で蛸になった。
ムカつく……
「もしかしてファーストキスだったんじゃねーの?」
「…うん」
うわ、ますますムカつく!
「…はっ!今時ファーストキスが23だなんて、レアな女もいるんだな!」
「早いとか遅いとか…そんなの関係ないと思う。何歳でも、好きな人と出来れば嬉しいと思うし…」
「好きな人、ね。じゃあオマエは社のことが好きなんだな。付き合うかどうかあんなに悩んでたくせにな。ちょっと心変わりが早過ぎなんじゃねーの?」
「キミに言われる筋合いはないよ!付き合えばって、キミが言ったくせに!」
「他に好きな奴がいるなら断れよな!」
「だって、僕の好きな人にはちゃんと彼女がいるんだもの!」
「誰だよオマエの好きな奴って!言ってみろよ!?」
「それは―――」
塔矢の口から名前が出る前に、オレは彼女の唇に吸い付いていた――
突然のことに目を見開く彼女。
徐々に、涙が滲んできていた。
「…んっ、ん…ん…っ」
さっきの社とのキスとは違う、長くて深くて気持ちのこもったキス。舌も絡めあって、お互い無我夢中で貪りあった。
もちろんキスだけじゃない。
体も限界まで抱きしめあって。
オレは彼女の体を抱えるように…自分のベッドに招いた。
ゆっくりと倒して…オレは跨ぐようにその上に乗る。
「――…はぁっ、…は…進…藤…」
「塔矢…」
「好き…、好きだ…進藤。ずっと…好きだった…」
「オレもだよ。塔矢のこと…大好きだ」
「嘘ばっかり…」
「本当だって!」
「今までそんなそぶり…全然見せなかったくせに。ずっと…彼女がいたくせに…」
「今日嫌ってほど思い知ったよ。社にめちゃくちゃ嫉妬した。今までずっとオマエが独り身だったから…全然気付かなかったんだ」
「…轟さんはどうするんだ?」
「もう別れた。ていうか、フラれた」
「いつ?」
「プールの時。オマエは?まだ社と付き合ってるのか?」
「社は僕の気持ちなんかとっくに見抜いてた」
「じゃあオレら…一緒になっても何の問題もないんだな」
「…みたい」
「ていうか……いい?」
「嫌そうに見える?」
「全然♪」
言い合いながらも服を脱ぎあっていたオレら。
許しが出たところで、オレは一気に彼女を触り始めた――
「―…ぁ…っ…」
さっきのキスがファーストキスな塔矢は、もちろんセックスも初めて。早く一つになりたい気持ちを抑えて、ゆっくりと慣らしてやった。
昼間、せっかくの水着姿だったのに、上着とイルカに邪魔されて全然拝めなかった彼女の体のライン。
程よいバストに、引き締まったウエスト。
意外に豊満なヒップは安産体型の象徴かも?
「…ぁ……ん、は…っ…ぅ…ん…」
結構クーラーをガンガンかけてるのに、汗が滲んできていた。
「暑い?」
「暑いというか…体が熱い。もう…」
「限界?」
「う…ん…」
「オレも。挿れるな」
塔矢の脚を限界まで開いて、その場所に自分のものをあてた。
一応ゴムは常に持ってるけど、付けなかった。
オレと塔矢には必要ない。
直感的に何故かそう思ったから。
「…ん…、…い…た…っ…」
「大丈夫か?」
「平…気。痛いけど…嬉しいし…」
「オレも…」
優しく激しく何度も突き上げて、繋がってる喜びを肌で感じた。
「塔矢…っ、塔矢…」
「進…ど…、進…」
最後は恥ずかしいぐらいお互いの名前を連呼して。
初めてのくせに塔矢は女の悦びまで昇り詰め、オレは自分の愛を彼女の中に溢れさせていた―――
「好きだ…塔矢」
「僕…も…」
「もう一回…してもいい?」
「エッチ…」
NEXT