●VIDEO 2●


「やぁ…ん、あぁ…」

直視は出来なかったけど、横目で僕も少し見ることにした。

女性が弄ばれて、犯されていくシーンが幾度となく続いて、耐えられなくなってきた。

顔がすごく熱くなって、興奮してきたのが分かる。

進藤の方を少し見ると、案外しれっとしてる様子だ。

何だかもう慣れてる感じで、このシチュエーションはつまんねぇ…とか、ぼやきながら欠伸をすることもあった。

短編が何本か入っていて、次の話に変わった途端、進藤が頭を起こした。

「…なぁこの女優、塔矢に似てねぇ?」

「ど、どこが!」

いきなり僕の方に振られてたじろいだ。

「えー…髪の色とか目付きとか性格ー」

「全然違う!」

「そうかなぁ…」

だいたい女性じゃないか。

僕とは根本的に違う。

…でも

今まで見た話の中で、僕に似ていると言ったこの人を進藤が一番真剣に見てるので、いてもたってもいられなくなった…。

「…僕、帰るよ」

「その格好で?」

興奮して勃ってしまい、前屈みになっている僕を見て、進藤が意地悪く聞いてきた。

「…っ、その前に…トイレ借りていいかな」

進藤が少し笑った。

「塔矢、来いよ」

「え?」

ドアの方にまで移動していた僕をベッドの方に手招きしてくる。

「何…?」

恐る恐る近寄ってみる。

手の届くところまで近付くと、進藤が体を起こした。

「え…?ちょっ…」

いきなり僕のベルトに手を掛けて外し、ジッパーを下ろし始める。

「進藤っ!」

慌てて体を引いたけど、腕を掴まれて―そのままベッドの方に放られた。

「え…」

茫然と見てる僕の上にのし掛かってくる。

「し、進藤!待って!」

いきなりその立ち上がってしまっているものに進藤が触れてきた。

「任せとけって…オレ結構上手いんだぜ?」

「は…?」

揉みながら徐々に擦り上げて、僕を更に煽り始めた。

「あ…っ」

その手の動きに耐えられず、甘い声が口から漏れた。

「やっ…」

何とか逃れようとしたけれど、左手で肩に体重を掛けられていて、体が動かなかった。

「え…ちょ…っ!」

肩から手が離れたかと思うと、顔がその局部に近付いていって――口に含まれた。

「やだっ!ヤメてくれ!」

自由になった上半身を起こして、進藤を離そうと肩を押した。

「―あ…っ」

でも唇の動きに反応して、力が抜けていく―。

「ん…、あ…っ」

煽られていくのが恥ずかしくて、徐々に目が潤んできた。

生温かい感触が微妙にずれていって、内部で舌を転がされる。

「…んっ…」

根元の方は手で揉まれてますます追い詰められていった―。

「進…藤っ、もう…」

限界に近いことを言うと、進藤が口を離してくれて、代わりに更に手で擦って追い込んでくる。

「―や、あ…あぁ、ん」

先から生温かいものが出て、進藤のシャツに飛んでしまった。

「あ…ごめん」

荒れた息で謝ると、何も言わず進藤がそれを脱ぎ捨てた。

「…もう…治まったから帰るよ…。ありがとう…」

お礼を言うところなのか微妙だったけど、取りあえず言ってみて、ベッドから起き上がった。

進藤の方は下を向いたまま突っ立っている。

ビデオが一通り終わったらしく、画面がザーザーいってるのが気になって、テレビを消した。

「進藤…大丈夫か…?」

少し荒れた息で立ったままの進藤が心配になってきた。

「…大丈夫じゃ…ねぇ…かも…」

「…そう」

大丈夫じゃないんだ…。

かと言って僕が出来ることは何もないし…。

さっき進藤がしてくれたようなことをするのは……ちょっと無理だ。

後はなんとか自分でしてもらうしか…。

「じゃあ僕は帰るから…」


そう言ってドアに手をかけた途端―

後ろから抱き締められた―

「…進藤?」

怖くて振り向けない。

進藤が僕に何を求めてるんだろうと思うと更に―。

「…塔…矢」

首筋にゆっくり唇を押し当てられて、舌で舐められた。

「ちょっ…」

その行為に思わず鳥肌が立つ。

「やめ…っ」

離してもらおうと体を捩じって首を横に向ける。


え…


たちまち進藤の手が僕の顎を掴んで―唇を塞いでいった。

「―ん…っ」

突然の感触に息をすることも忘れて―固まってしまった。

「…っ、やめ…ろっ!」

思いっきり進藤を押して唇を離した。

「は…ぁ…はぁ…」

今すぐ逃げないとヤバいような気がして急いでドアのノブを掴む。

それなのに進藤がその手と肩を掴んで引っ張り――僕の体を床に倒した。

「…っ」

思わず腰を打ってしまい少し痛んだ。

「痛いじゃないか…!」

僕の声などお構いなしのように、進藤がのし掛かって――両腕を掴んだ。

「え…」

視線を合わすと、僕の目をじっと見て―徐々に顔を近付けながら目を閉じていった―。

「んっ…―」

またしてもの唇の感触にどうすることも出来ず…僕の方も目を閉じた。

何でこんなことになってるんだろう…と思いながら、先ほど見たビデオの内容を思いだした。


まさか…


今から僕を―


「…は…ぁ―」

唇を離してくれたかと思うと――次は首筋にキスをしてきた―。

「やっ…」

どんどん唇が下りていき、同時に片手で僕のシャツのボタンを外していく―。

「あ…っ」

唇が胸にまで下りてきて先を舌で転がされる。

ボタンをすべて外し終わった手は更に下に下りて、再び下着の中に手を入れてきた。

「あ…っ」

またしても手で煽られて、熱が盛り返してくるのが分かる。

そのうち少し腰を持ち上げられて、ズボンも下着も一緒に下ろされ、脚から引き抜かれた。

「やっ…ちょっ…」

驚いて反抗しようとした時には既に遅く、脚を掴まれ左右に大きく開かされた。

その羞恥を直視出来ず、手で顔を覆ってせめて見えないようにした。


もうダメだ…


たぶん今の進藤からはもう…逃げられない―


「ん…っ」

進藤の手が更に奥に触れて、掻き回しながら指を入れてきた―。

微妙な異物感に気持ち悪さと少しの気持ち良さを同時に感じる。

中で掻き回されるうちに徐々に広げられて…指の数も段々増えてきた―。

ここまでくると早く終わってほしいと願うばかりだ。

「…とう…や」

微妙に名前を呼ばれたかと思うと、一気に進藤が分け入ってきた―

「……っ」

痛っ…。

指で慣らされていても、この大きな圧迫感には息が詰まる。

強引に擦り上げられ、内部がおかしくなるのが分かった。

「あ…、あっ…」

突き上げられる度に声が漏れる。

徐々に慣れていって…そのうち気持ち良さもまじって―

「やっ…あ…」

念入りに動かれて、ますます息が乱れ――思考が飛びそうだった。

「あ…、あ…っ」

絶頂が近くなり、思わず進藤の首に抱き付いた。

「もう…だめ…」

更にスピードを上げて追い込んでくる。

「あ、あぁ…ん」

一気に達して進藤との間でまた放ってしまった。

「あっ…」

痺れて分からなくなっているそこにも何かが溢れた感じがして、進藤も達したのかな…と少し安心した。

「は…ぁ」

進藤が熱を出して大きく息をはいた。

「進…藤…」

抱き付いている僕と目を合わした途端――進藤が我に返ったように大きく目を開けた。

「塔矢…?」




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