●WAKE UP+ 3●
ありえない。
ありえないありえないありえない。
たった一回だぞ?
たった一回で一発的中だなんてマジありえない。
あの悪夢の夜から約3ヶ月。
ようやく忘れられそうだったのに…妊娠って。
子供って……マジかよ……
正直に話した方いいのかな。
いや、話さなくてもアイツは産む気みたいだからいつかはバレるだろう。
なら、潔く話して謝ろう。
でも……責任取れって言われたらどうしよ…。
いや、99%言われる。
責任ってやっぱ結婚とか認知とかだよな。
塔矢と結婚……
塔矢と夫婦……?
うわあああああ
「塔矢…話があるんだ」
「なに?」
数日後―――塔矢を自分の部屋に招いたオレは、まずは土下座した。
「ごめんっ!オレ…オマエが本当に寝てるなんて思わなくて…!」
「…何の話だ?」
「三ヶ月前の函館のイベント…覚えてる?」
「ああ。キミが約束をすっぽかしてくれたあのイベントだね」
「すっぽかしてねーよ!ちょっと遅れただけ!」
「遅れた?ということは一応来たのか?」
「うん…でもオマエもう寝てた」
「ああ。いくら待っても来ないからもう寝ることにした」
「オマエ…睡眠薬飲んだだろ」
「あの頃は不眠症だったからね」
「知らなかったんだ!だから遅れた腹いせにタヌキ寝入りしてるんだと思って…オレ――」
ここまで言うと、オレが何に対して謝ってるのか流石に塔矢も分かったみたいで、目を見開いてきた。
「まさかキミ…」
「本当にごめんっ!もう止まらなくて…」
「じゃあこのお腹の子はその時の…」
「ちゃんと責任取る!結婚でも慰謝料でも認知でも何でもするから!」
「………」
さすがにショックだったみたいで、塔矢は固まってしまった。
泣かれる?
怒られる?
ふざけるな!って怒鳴る?
もう打たないって言われたらどうしよう。
婦女暴行で捕まったら…オレの人生終わる。
ビクビクしながら塔矢の反応待つと―――意外にもプッと吹き出してきた。
「はは…なんだ」
「塔矢…?」
「そういうことだったのか。今思えば…確かにあの朝はやけに下半身が痛かったな」
「…ごめん」
「理由が分かってすっきりした」
「…怒らねぇの?」
「責任取ってくれるんだろう?」
「も…もちろん!」
「じゃあ…子供の父親になってもらおうか」
「結婚ってこと?」
「そうだね。それが一番この子の為になりそうだから」
意外にも、責任だけで何もお咎めはなかった。
寝てる間に勝手にヤられて、普通少しは怒らないか?
しかも初めてだったのに…。
相手がいつも一緒にいるオレだったからか?
実はオレのこと好きだったり?
例え違ったとしても、もし塔矢が子供の為に普通の恋愛を諦めてくれたのなら、オレは責任を持ってその相手も努めよう。
「塔矢…好きだ」
甘いセリフはもちろんのこと。
子供が生まれたら、今度はちゃんと抱いてやるからな―――
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