●WAKE UP+ 1●
「後で打とう」
イベントの打ち上げの後、オレと塔矢は打つ約束をしていた。
別に約束を破ったわけじゃない。
久々に会った関西棋院の奴らと妙に盛り上がって、ちょっと遅れただけだ。
でもまだ12時すぎだった。
なのに、塔矢の部屋には鍵がかけられていた。
「くそ、打つ約束なのに」
いくらベルを鳴らしても無視られたから、仕方なくフロントに頼んで鍵を開けてもらった。
もともとオートロックのホテルだから、部屋に鍵を置き忘れたって言うと簡単に開けてくれる。
ドアを開けると中は真っ暗で、塔矢はベッドで眠っていた。
「おーい、起きろよ塔矢。打つ約束だろ?来たぜ」
いくら声をかけても、揺すっても、全く反応なし。
オレが遅れたから、寝たふりをして無視ってるんだろう。
「もういいじゃん!謝っただろ?いい加減起きないとチューするからな!」
それでも起きない塔矢にカチンと来て、整い過ぎた綺麗なお顔に本当にキスしてやった。
最初はほっぺに―――続いて唇に
「……起きない」
ここまで来ると、実は塔矢に誘われてるんじゃないか?って気になってくる。
いくらなんでも本当に寝てるわけないだろ?
「…へぇ、じゃあ起きるまで好き勝手させて貰うからな」
掛け布団を剥いで、彼女に跨がった。
今度は首筋にキスしながら――浴衣の紐を解く。
あらわになった真っ白な綺麗な体に、思わずゴクッと唾を飲み込んだ。
…オレは別に塔矢のことなんか何とも思ってない。
思ってないけど、コイツの容姿はオレにとって魅力的過ぎて…塔矢がいいのなら一回ぐらい抱いてもいいかなって思う。
「塔矢……」
可愛い下着に手をかけて、胸も下も無我夢中で弄った。
もう手も下半身の暴走も止まらなくて、塔矢が本当に何の反応もしないことに途中で違和感を感じながらも……最後までした。
「…ごめん」
熱を出して冷静になった後、取りあえず謝った。
溜め息をつきながら起き上がると、ふとサイドデスクに置いてあった薬が目に入る。
「なんだこれ…睡眠薬?」
そういえば、前に最近不眠症だと塔矢がぼやいていたことを思い出した。
薬…使うほど酷かったんだ。
サーっと一気に血の気がひいていくのが分かった。
まずい。
まずいまずいまずい。
マジかよ…本当に寝てたんだ。
どうりで起きないはずだ。
「ありえねー…どうしよ…」
強姦もいいとこだ。
こんなのバレたら一貫の終わりだ。
取りあえず、塔矢が起きる前に逃げよう。
気付かれないように下着も浴衣も元通り着さして、布団もかけて。
出血はないから、バージンじゃないかもしれないし。
初めてでないのなら、バレなければそんなに問題ではないはず……はずはず。
うわあああああ
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