●WANT TO MARRY 8●




12/14――ついに来た塔矢の誕生日。


見事勝利を掴んだオレ。

見事塔矢を家に連れ込んだオレ。

10年も付き合ってるくせに今更そのぐらいで喜ぶなよ…、と和谷がいたら笑われちまいそうなぐらい、自分の心が躍ってるのが分かる。

まるで今日がオレの誕生日みたいだ――



「じゃ、改めておめでとう」

「ありがとう。開けてもいい?」

「うん」

大阪で買ったプレゼントの包みを、塔矢は早速開け出した。


「…あ、すごい。相変わらず趣味いいねキミ」

そりゃあもう。

なんせオレと社と店員がオマエに一番似合うやつを悩みに悩み抜いて決めたドレスだからな。


「クリスマスの時にでも着させてもらおうかな」

「えー、今も着てみてよ」

「今?」

「うん」

「…分かった。着替えてくるよ」

そう言ってリビングから出て行こうとした塔矢の手を掴んだ―。


「ここで着替えてよ」

「え…?」

「自分で後ろのチャック上げるの難しいだろ?してやるよ」

「…うん。じゃあ…お願いしようかな」


顔を少し赤めながらも、素直にオレの言うことを聞いてくれる塔矢。

どっちが誕生日なのか分かんねぇな、これじゃあ…。


「………」


「………」


無言で恥ずかしそうに服を脱ぐ彼女と、それをただジッと見つめるオレ。

エッチん時はオレが脱がせてばっかだったから……自分から脱いでる彼女はちょっと新鮮。

上のセーターもシャツも下のスカートも全部脱ぎ終わって下着だけになった時――自分の体が反応したのが分かった―。


やば…。

早過ぎ…。


理性を保てるように、興奮を抑えるように――ぎゅっと目を閉じた。


そんなに溜まってんのかな…オレ。

…でも、確かにもう何ヶ月してなかったっけ…。

さすがにもう限界…?


「…進藤?」

「え?」

ハッと目を開けると、塔矢がドレスを着ていた。

「後ろ上げてくれるんだろ?」

「あ、うん…」


塔矢の背後に回って――チャックを手に取った。

上げながら――彼女の肌を舐めるように…凝視してしまう。



……すげぇ綺麗……



「――ん…」

少し髪を上げると見えてくる首の後ろに――そっとキスをした―。


「塔矢…」


上げるのを途中でやめて、後ろから体を包みこむように抱き締め…胸を揉んでみる。


「待っ…」

「…塔矢…」

「でも、ドレスが…」

「いいじゃん…」

「だめ…だ。せっかくキミがくれたのに…シワに…」


オレの体を引き離そうとしてきたので、抵抗して更に強く抱き締めた―。

触れた髪に唇を押しつけてキスをする―。


「進藤…ドレスだけ脱ぐから…、ちょっと待って…」

「やだ…」

ドレスの上から下半身にも手を伸ばしてみる―。


「ちょっ…ストップ、待って!」

「………」

「進藤っ!!」


まるでオレを我に返らすように体を突き飛ばして、勢いよく引き離してきた―。


「待ってって言ってるだろ?!」

「…ごめん」

「服なんて30秒もあれば脱げる!その程度も待てないのかキミは!」

「……ごめん」















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