●TIME LIMIT〜新婚編〜おまけ●
※明菜が初めて須本さんちにお泊りに行った日のお話です(明菜視点)
「血液の成分を3つ挙げ、その役割を簡潔に説明しなさい。えーと
もうすぐ前期テストが始まる。
なので、今日のデートは須本さんのおうちで勉強デートにしてみた
何だか受験生の頃に戻ったみたいで懐かしい。
須本さんも私の横で持ち帰りのお仕事をしていた。
「えーと…呼吸中枢があるのはどれか。a. 間脳、b. 小脳、c. 大脳、d. 脳幹……うわ、全然分かんない。須本さん分かる?」
「d. 脳幹」
「なるほど…」
何を聞いても即答してくれる須本さん。
もちろん最終的には教科書全部を覚えなくちゃいけないんだろうけ
2時間くらいぶっ続けで勉強したところで、
「ちょっと休憩したら?」
とアイスコーヒーを入れてくれた。
私はブラックは飲めないので、牛乳で割ってカフェラテにしてくれ
「ねぇねぇ、須本さんっていつも何時に寝て何時に起きてるの?」
「だいたい23時就寝の6時起床かな」
「へぇ〜」
「明菜ちゃんは?」
「日付が変わるぐらいに寝て〜、7時くらいに起きてるかな。あ、
えへっと笑う。
「じゃあさー…今夜はどうする?」
と須本さんに近付いて、耳元で囁いた。
彼の頬が少し赤くなる。
そう――今夜は須本さんちにお泊りするのだ。
初めて。
一晩中一緒にいるのも温泉以来だ。
(もちろん両親にも許可は貰っている。もう婚約してるからか、反
「でも須本さんは明日お仕事だから、普段のペース変えたくないよ
「多少違っても問題ないよ」
「ふぅん…、温泉の時みたいなのは多少の部類?」
「まぁ…ね」
彼の歯切れが悪い。
まぁ…、そりゃそうだろう。
温泉の時は3時就寝の7時起床だったのだ。
夕食の後6時間以上もイチャイチャしてしまったのだ。
(思い出したら顔が熱くなってきた…)
再び試験勉強を再開し、18時を回った頃私達は夕ご飯を食べに外
須本さんちのマンションから駅に向かって少し歩けば、飲食店がた
チェーンのファーストフードやセルフカフェ、スイーツ店、ファミ
「何が食べたい?」
「んー…、今日はお寿司の気分かな」
「いいよ」
須本さんが回らないお寿司屋さんに向かおうとしたので、私は慌て
「緊張するお店はヤダ」と。
須本さんはむしろ回転寿司の方が久しぶりらしい。
(これだからお坊ちゃまな医者は…)
「大学の時に一ノ瀬と行った以来かも」
「スイーツとかも色々あって楽しいんだよ〜」
「へぇ…。あ、本当だ」
席の案内も注文もお会計も、店員さんと完全非接触のシステムに驚
「ラブホみたいだな」
という感想を言われて(ん?)となる。
私達はもちろんそんなホテルを使ったことはないからだ。
(でも須本さんはきっと元カノと使ったことがあるんだろう…)
ズーン…と急に落ち込み出した私を見て、須本さんも失言に気付
「ごめん…、配慮が足りなかった」
と謝ってきた。
「…いいよ別に。大人の人は誰だって一度くらい使ったことある
そう返したものの、涙が出そうだった。
落ち込んだまま食事を終え、再びマンションに帰ってきた。
「…やっぱり今日は家に帰ろうかな」
玄関で彼にそう告げると――即座に抱き締められる――
「ごめん…、本当にごめん。俺が悪かった」
「……」
「俺が好きなのは明菜ちゃんだけだから…」
それでも、それでも今だに彼の中で元カノ達との思い出は健在なん
きっと一生消えることはないんだろう。
……もうすぐ私と結婚するのに……
「…今度、私とも一緒に行ってくれる?」
「もちろん。なんなら今から行こう!」
あまりに彼が焦った口調で真剣にそんなことを言うので、ちょっと
「須本さんて…本当に」
「え?」
「可愛いね」
一回りも年下の恋人に可愛いと言われて、さすがに一瞬微妙な顔を
でも、そんなことより私の機嫌を直すのに必死になってくる彼に、
彼の過去は決して消せないけれど。
でも彼の未来は私のものなのだ。
ラブホぐらいなんだ。
これからいくらでも私と行って、思い出を上書きしてやる。
彼とこれから暮らすのは私だし、結婚するのも私だし、家族を作る
私だけの彼なのだ。
「須本さん…、一緒にお風呂入ろ?ラブホっぽく」
「え?」
「ダメ?」
「まさか!沸かしてくるから待ってて」
ダッシュでバスルームに向かってしまった彼。
私もリビングに向かい、バッグから着替えやパジャマを取り出し、
―END―
以上、初めて須本さんの部屋にお泊りした時の話でした〜。
7月上旬くらいの婚約後の二人です。
うっかり失言してしまい、明菜の機嫌を取るのに必死な須本さんなのでした〜。