TIME LIMIT〜新婚編〜 8





ドキドキの初夜の時間がやってきた――



既にお風呂に入ってパジャマ姿な私。

今は須本さんがお風呂に入っていて、私は彼が出てくるのをベッドに入って待っていた。


ちなみにこの部屋で一夜を過ごすのは2回目だ。

6
月に婚約してから一度だけお泊りしたことがある。

その時は……夜8時くらいから朝の3時くらいまで、途中休憩を挟みながらもぶっ続けで絡み合ってしまった。

温泉の時みたいに――


(思い出したら顔が熱くなってきた…)


須本さんは意外と情熱的というか…エッチ好きというか、めちゃくちゃ体でも私を愛してくれる。

私は彼しか知らないわけだけど……普通はこんなものなのかな?


脱衣室からドライヤーの音が聞こえ、更に待つこと5分。

パジャマ姿な須本さんが寝室にやってきた。

「お待たせ」と――


(きゃー何でメガネかけてるのーー!!)


余計にドキドキドキと心臓が煩いほど高鳴る。

でも手にはノートパソコン。

ベッドに入った彼は私の横に来たものの、

「ごめん、明日朝イチで部門会議あって。ちょっとだけ準備してもいい?」

とパソコンを立ち上げ出した。

「あ…、うん。もちろん…」


ちょっと拍子抜ける。

でも真剣な表情でパソコンに向かう彼の顔はとってもカッコよくて、思わずうっとりと眺めてしまった。

(ていうか、タイピング早っ!)

書斎で仕事した方がもちろん捗るだろうに、わざわざここでするのは、もしかしたら少しでも私の傍にいたいって思ってくれてるのかな。

もしそうならすごく嬉しい。



私も携帯を弄りながら待つこと30分。

「終わったよ」

とパソコンを閉じてサイドデスクに置いた彼が、早速私の唇にキスしてきた――


「――…ん……」


優しく触れて来るのは最初だけ。

すぐに舌を挿入してきて……官能的でイヤらしいキスをされる…。

あまりに気持ちよくて、これだけでも下半身が濡れてくる……


「は……須本さん……」

「もう須本さんはやめようか…」

「あ…じゃあ、大樹さん…?」

「うん。俺も明菜って呼んでもいい…?」

「うん…もちろん」


明菜…、と首筋にキスを落とされる。

その時カチャッとメガネが私の頬に触れる。

メガネをかけたままだったことを思い出した彼が、直ぐさまソレを外した。


(外す仕草も超カッコいい…)


こんなにも素敵な人が自分の旦那さまになったなんて……いまだに信じられない。

しかも私をこんなにも愛してくれる人は、他にきっといないだろう。

出会えて良かった…、好きになってよかったと心から思った。


「大好き…大樹さん」

「俺もだよ…」

「好きになってくれてありがとう…」

「お礼を言うのは俺の方だよ…」


明菜がいなかったら俺は一生独身だったかもしれない…、と彼は言う。

絶対そんなわけは無いと思うのだけど、彼の目は本気でそう思ってるように見えた。

そういえば挨拶に伺った時に彼のお義母さんが言っていた。


『この子ったら本当に女性運がなくて、浮気されてフラれてばかりだったのよ』と――


この大樹さんほどの人が、浮気されてフラれてばかり??

ちょっと理解出来ない。


でも同じようなことを美鈴お義姉ちゃんが昔言っていた。

私は男運がないと。

いつも浮気されたり、他に好きな人が出来たから別れてくれと言われると。


『でも、もしかしたら私の赤い糸は明人君と結ばれてたから、だから他の人と付き合っても上手く行かなかったのかも…』

とも言っていた。


私は左手を広げて薬指を見た。

今は大樹さんとお揃いの結婚指輪がしてある薬指。

一緒に選んだマリッジリングだ。


「どうしたの?指輪が気になる?」

「ううん…、きっと私の赤い糸は大樹さんと結ばれてるんだろうなって…思って」

「赤い糸?」

「だから大樹さん…、他の人と付き合っても上手くいかなかったんだよ…きっと」


彼が目を見開いてくる。

そして笑ってきた。


「そうかも…。いや、絶対そうだ」


大学入試の時、俺は3つの大学で悩んでいたと彼は言う。

一つは横浜の大学。

一つは神戸の大学。

そしてもう一つが福岡の大学だったと。

どれでもよかった、でも直感で福岡を選んだと。


「一ノ瀬に会うために選んだんだな…きっと。明菜のお姉さんである千明さんと付き合ってる一ノ瀬に会う為に…」

「きっとそういうことだね…」


もし違う大学を選んでいても、就職先の今の病院で二人は出会ったかもしれない。

でも女運のないただの同僚の為に、大事な自分の妻の妹を一ノ瀬お義兄ちゃんが紹介したとは思えない。

やはり福岡の大学で6年間、共に国家試験合格を目指して切磋琢磨し培った絆があったからこそ、私と会わせる機会を設けてくれたんだろう。


「そっか…、だから俺…フラれまくってたのか。じゃあ仕方ないよな…、運命の相手じゃなかったんだから」

「うん…、仕方ないよね。私としか結ばれない運命だったんだから

「そうだな――」


私達はもう一度甘くてとろけるようなキスをした。


出会えたことの喜びを胸に。

そして結婚出来た幸せを胸に――

 

 

 

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