TIME LIMIT〜新婚編〜 7





「「2週間お世話になりました」」



大学病院での臨地実習が無事終わり、私達1年生は夏休みに入った


「進藤さんは夏休みどうするの?」

帰りに一緒に駅に向かっていた惣田さんが聞いてくる。

「えっと…、色々手続きが」

「手続き?」

「ちょ、ちょっとね…。惣田さんは?」

「バイトしてみようかなって思ってて。欲しいものたくさんあるし

「バイト?どこで?」

「カフェとかファーストフードとか、飲食系で考えてるかな」

「へぇ…、頑張ってね」

「うん」


そういえば今までは両親にお小遣いを貰っていた私。

結婚したらもちろんもう貰えないと思うから、今後欲しいものがあったらどうすればいいんだろう?

須本さんにお願いすればいいのかな?

私の学費もどうなるんだろう?


 

 

 



「おめでとうございます。確かに受理致しました」


8
16日。

お盆明けに私と須本さんは一緒に区役所に行って、婚姻届を提出した。

記入するのはめちゃくちゃ緊張した。

でも本当に結婚するんだって改めて実感した。

証人欄はお姉ちゃんと一ノ瀬お義兄ちゃんに書いてもらった。

だって、二人が私達を出会わせてくれたようなものだからだ。


その後は実家に行って、無事終わったことを二人で報告した。

あと、最後の荷物を取りに行くのも兼ねて。

まだ結婚式の日程が未定な私達。


両親から「おめでとう」と祝福された後、包みを渡される。

「結婚祝い」と。

「ありがとう…、お父さんお母さん」

というかこの包み…めちゃくちゃ厚みがある。

(一体何百万入ってるんだろう…)


「あと須本君、これも」

と包みをもう一つ。

「卒業までに必要な明菜の学費が入ってるから」



――え?



「いえ、これはいただけません。学費は俺が…」

「ううん、これは親の役目だから。最後まで責任持たせて」

「…ありがとうございます。必ず卒業させますので」

「うん…、頼むな」



結婚祝いと学費を合わせて1千万近いお金を両親から貰ってしまった私達。

持ち歩くのは危険なので、もちろんすぐに銀行に預けに行った。

………私の口座に。


「あの…、二人にくれた結婚祝いなのに、全額私の口座でいいの?

「うん。明菜ちゃんが自由に使って。もちろんこれから生活費も渡すし、お小遣いもあげるけど、明菜ちゃんがそれ以上に今後買いたいものが出てきたらこのお金を使ったらいいよ」

「…分かった」

「とりあえず家計の遣り繰りはこのまま俺がしようと思うけど、それでもいい?」

「それはもちろん。須本さんのお給料なんだし。また私が働き出したら見直そ」

「そうだな」




銀行を後にして、須本さんのマンションに帰ってきた私達。

そう――帰って来た、のだ。

今日からここが私の家なのだ。

私はもう『須本明菜』なのだ――


「はい、明菜ちゃんの分」

「あ、ありがとう…」


早速マンションのカードキーをくれた。

このカギを持ってるだけで1階のエントランスもこの35階の部屋のカギも自動で解錠されるらしい。


(嬉しい…)


実家から持って帰って来た最後の荷物を片付けていく。

3LDK
のマンションなので、1部屋を私にくれた。

勉強机も新しく買ったので、学校の教科書類もここに並べていく。

お父さんから貰った学費を無駄にしない為にも、ちゃんと勉強して卒業しようと思う。


ちなみに私の部屋にベッドはない。

それはもちろん…、須本さんのベッドで一緒に寝るつもりだからだ


(緊張する…、まさに今日が初夜ってことか…)


私の誕生日以降、一応デートの度…、つまり週1くらいで体を合わせて来た私達。

もうだいぶ慣れてきたとはいえ、やっぱりちょっと緊張する…。

なんせ今夜からは恋人とするエッチではないのだ。

旦那さまと…なのだ。


(きゃーーー///




コンコン


「明菜ちゃん、片付け終わった?そろそろ夕飯にしようか」

「あ、はい」


一緒にダイニングに行くと、須本さんが夕食を作ってくれていた。

今までずっと実家暮らしの私と違って、大学の時からずっと一人暮らしな彼。

料理も得意なのか、ハンバーグをメインに普通に美味しそうだ。


「「いただきます」」


一緒に手を合わせて食べ始めた。

明日は普通に朝から仕事の彼。

一方私は夏休みなので、家事はもちろん私の仕事だろう。


「えっと…、朝ご飯はなに食べたい?」

「作ってくれるの?」

「頑張ってみようかと…」

「ありがとう。俺はいつも洋食かな。時間がない時はシリアルとかで簡単に済ませることもあるけど」

「洋食…」

「うん。ソーセージとかベーコンとか肉系と、目玉焼きとかスクランブルエッグとかの卵系に、あとパンとサラダ。ヨーグルトを添えることもあるかな」

「なるほど…、それくらいなら私でも作れそう」


明日の朝は任せて!と言うと、須本さんが嬉しそうに笑ってくれた――

 

 

 

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