TIME LIMIT〜新婚編〜 2





(何かノボせたな…)



温泉に浸かりながら今夜のことをグルグル考えていたら、ボーッとしてきた。

ふらふらと部屋に戻ると、須本さんはまだ寝ていた。

そ〜っと近付いて、寝顔を覗き見る。


(可愛すぎでしょ…)


こんな無防備な寝顔が見れるのは彼女の特権だよね、と顔が勝手に緩んだ。

チラリと時計を見るともう17時半だった。

夕食は18時からとか仲居さんが言ってた気がするので、そろそろ起こした方がいいんだろうか。


―――どうやって?


そりゃ…彼女の起こし方と言えばこれでしょ、と私はそっと彼の唇に自分の唇を重ねた――


「――……ん……?」


起きたのか、目を開けてきた須本さん。

直ぐさまキスを解こうとしたら……


「…んん…っ?!」


頭の後ろに手を回されて、いきなり激しいキスをされて驚く。

でもってそのまま体をベッドに引きずり込まれて、上下逆転。

あっという間に彼に組み敷かれてしまった。


「…煽ってるの?」

「え…っ、そ、そういうわけでは…」

「キスで起こしてくれるのはもちろん嬉しいけど。明菜ちゃん…、今犯罪的に可愛いこと忘れないで?」

「は、はい…」

「夜まで我慢出来なくなるから」

そう言いながら私の首筋にキスしてくる。


「…ぁ……だめ…」

「ちょっとだけ味見させて…?」


舌までも少し這わされた後、少しだけ痛みが走った。

また痕を付けられたんだと悟る。

もみもみと浴衣の上から胸まで揉み始めてくる彼。


「あの…、須本さん、夕食の時間が…」


ベッド横の時計を確認した須本さんは、渋々という顔をして体を起こした。


「仕方ないな…、ぼちぼち行こうか」

「う、うん…」


私の方も体を起こして、少し開けてしまった浴衣を直した。

その様子を恨めしそうに見つめてくる彼。


(そ、そんな顔しないでーー夕食やめて先にシよっかって言いたくなっちゃうよーー)


 

 


18
時ちょうどぐらいにレストランに着いた。

それぞれの部屋が半個室になっていて、既に前菜含むいくつかの料理は既に並べられている。


「飲み物どうする?」

メニューを開いた須本さんが、「ソフトドリンクも色々あるよ」と見せてくれる。

「んー…ウーロン茶かなぁ」

「じゃあ俺もそうしようかな」

「アルコール飲まないの?」

「うん」


店員さんに2人分のウーロン茶を注文した彼。

珍しいな…と思った。

付き合い始めてからこの4ヶ月間で、須本さんは私を色んなレストランに連れて行ってくれた。

夜はオシャレなイタリアンやフレンチから始まって、居酒屋や焼き肉まで。

車じゃない時は彼はいつもワインやビールを注文していたのだ。

もちろん彼はお酒が強いし、私と一緒の時は1杯や2杯くらいしか飲まないので、それで酔うわけがないのだけど。

(でも頬が少しだけ赤くなってとっても可愛いのだ)


「飲んでもいいのに」

「いや、今日はやめておくよ。この後すぐ温泉も入りに行きたいし、それに…」

「それに?」

「…いや、後で言うよ」

「うん…?」


何故かお酒を飲んだ時のように頬を赤くしていた。


 


「わ、この鱧美味しい」


普段あんまり食べる機会がない懐石料理。

前回家族で温泉に来た時も同じような内容だったけど、あの時はあんまりテンションが上がらなかった。

(むしろ明良子が食べてたお子さま用の料理の方が余っ程美味しそうに見えたのだ)

でも今回はすごく美味しく感じるのは何故だろう。

大人になって味覚が変わったのだろうか、それとも一緒に食べてる人が違うからだろうか。

好きな人とご飯を一緒に食べるだけで幸せな気分になる。

しかもデザートは私の大好きなメロンと桃だった。


「美味しい♪」

私があまりに幸せそうに食べてたからか、

「良かったら俺のも食べる?」

とお皿ごとくれる。


「え、いいの?でも全部はさすがに申し訳ないかな…」

「そう?じゃあ一口だけ貰おうかな」

口を開けて来たので、ドキドキしながらフォークでメロンを食べさせてあげた。

「うん、美味しいなコレ」

「だよね。私メロンが果物で一番好きなんだ〜」

「そうなんだ。じゃあ今度北大で学会あるから、お土産はメロン買ってこようか?」

「え?ホント?嬉しい♪」


 

 

 


1
時間半の夕食が終わり、私達は再び部屋へと戻った。


「須本さんは温泉入りに行く?」

「うん。明菜ちゃんは?」

「私ももう一回入ろうかなぁ…」

「じゃあ一緒に行こうか」


今度は一緒に8階へと向かった。

途中で女の子グループとすれ違うと、

「うわ、今の人カッコいい」

と彼女達が振り返ってウワサしてるのが聞こえた。

私もチラリと須本さんの方を見る。


顔がイケメンなことに加え、身長も180pもある彼。

お陰で何でも着こなしてしまう彼だけど、浴衣姿もものすごく似合っていた。

もちろん……何も着てなくてもカッコいいのだが。

情事の時の彼の姿を思い出して、カーッと赤くなった。



「じゃ、明菜ちゃんまた後で」

「うん、先に出たらこの辺で待ってるね」

「うん」


須本さんが男湯の暖簾をくぐって中に入って行ったので、私も女湯の暖簾を再びくぐった。

時間帯もあるからか、脱衣所はさすがにさっきより混んでいる。

やっぱり家族連れや友達同士が多いけれど、私みたいに一人の女性も今度はチラホラいた。

きっと彼氏や旦那さんと来たんだろうと推測する。


(みんな今夜エッチするのかな…)


きっとするんだろうな。

そういう私ももちろんする気満々だ。

むしろ温泉なんてソレ目的以外に考えられない。

だからあの時『もうちょっと慣れてからにします…』とストップをかけたのだ。


(ヤバい……またノボせてきた……)


再び温泉に浸かりながら真っ赤になってたのは言うまでもない――

 

 

 

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