TIME LIMIT〜新婚編〜 11





9月下旬。

いよいよ新学期が始まった。



「おはよう進藤さん。久しぶり〜」

「惣田さん、おはよう」


1ヶ月半ぶりに会うクラスメート。

隣の席の惣田さんの近況を早速聞いてみる。


「バイト出来た?」

「うん、家の近所のカフェで始めたんだよ。先週生まれて初めてお給料貰ったんだけど、もう感動ものだったよ〜」

「へー!何か買った?」

「うん、腕時計」

惣田さんが嬉しそうに左手首を見せてくれる。

「進藤さんが付けてるの見て、いいなぁってずっと思ってたんだ」

「そうなんだね」


私の左手首にももちろん、今日も大樹さんから誕生日プレゼントで貰った腕時計がしてある。

ちなみに薬指の結婚指輪は今日は外してある。

さすがに付ける勇気はない。


「進藤さんも手続き…?無事終わった?」

「あ、うん。終わったよ」

「何の手続きだったの?」

「えへへ…ちょっとね」



始業時間になり、教授が教室に入ってきて、まずは点呼から始まる

さぁ、ドキドキの瞬間だ。


「佐藤さん」

「はい」

「須本さん」

「は、はい…」

「惣田さん」

「…あ!はい!」


惣田さんが、え?聞き間違い?という表情をしてこっちを見てきた

というか他のクラスメートも見てくる。

一気に汗が出てきた。


そして1限目が終わった後、惣田さんが直ぐさま

「進藤さん、苗字変わったの?」

と聞いてくる。


「う、うん…」

「親の離婚?あ…それはないか。お母さんの旧姓は塔矢だもんね

「うん…」

「じゃあまさか手続きって…、結婚…したとか?」

「……うん///


コクンと頷くと惣田さんが「きゃーーvv」と声を上げた。

周りの聞き耳立ててた子達も上げてくる。


「進藤さん、彼氏いたんだね…知らなかった。しかも結婚までしちゃうなんて…」

「えへへ…」

「えっと、名前何に変わったんだっけ?」

「……須本」

「須本さんか〜。小児科の須本先生と同じ苗字だね」

「……///


もう茹でダコのように真っ赤になってしまった私の顔。

クラスメートの一人がボソリと呟いた。


「そういえばその須本先生…、最近結婚したらしいよ。結婚指輪初めてしてきた日なんて、病院中で大騒ぎになったらしいけど…」

「え?進藤さん、まさか結婚相手が須本先生だとか言わないよね?

「………そのまさかデス」


ええええーーー??!!

とその場にいた全員が叫んだことは言うまでもない。









「ただいまー…」



夕方、何とか無事新学期初日を終えた私は家に帰って来た。

靴を脱いでいると、今日はオフの大樹さんが

「お帰り」

と玄関まで出迎えに来てくれた。


「大丈夫だった?」

「あんまり…、一日質問攻めだった」

「てことは話したんだ?俺と結婚したこと」

「うん…、大樹さんが結婚したこと知ってる子もいて、さすがにタイミングが同じ過ぎて隠せなかった」

「そっか」


出来たら隠したかったけど、やっぱり無理だった。

おかげで今日は1日根掘り葉掘り質問攻めにあってしまった。

「どこで出会ったの?」

から始まり、

「プロポーズはなんてされたの?」

まで。


「エッチの時の須本先生ってどんなの?」

とかいう質問にはさすがに黙秘を貫いたけれど……

(本当はめっちゃ語りまくりたかったけど…)

(裸でも超カッコよくて優しくて、でも激しくてめちゃくちゃ毎晩愛されまくってるって…、きゃー///



「夕飯にしようか」

「あ、うん」


ダイニングに行くととってもいい匂いがした。

今日はエビフライメインの夕ご飯並んでいた。

仕事がお休みの日は必ず夕飯を作ってくれる大樹さん。

カッコよくて優しくて頭もよくて身長も高くておまけにお医者様で……私には本当に勿体ないくらいの旦那さまだ。

こんな人と赤い糸で結ばれていた私はラッキーの他でもない。


「もうバレちゃったし、明日からは私も結婚指輪して大学行こうかな…」

「皆意外とすぐ慣れるから大丈夫だと思うよ。俺の指輪も今や誰も気に止めてないし」

「そういうもんだよね…」


外していた指輪を再びしようと手に取ると、大樹さんに「貸して」と手の平を出される。

指輪を渡すと、彼が私の左手を取って…薬指にハメてくれる。

でもって、指にチュッとキスされた。


「早く皆の前でも永遠の愛を誓いたいな…」

「…だね。そろそろ結婚式も具体的に決めていかないとね…」

「今度の休みはブライダルフェアでも一緒に行ってみようか」

「う、うん…///


一生に一度の結婚式。

いかにもな披露宴は恥ずかしくて絶対嫌だけど。

でも家族や友達を招いて、思い出に残る式にしたいなぁと思った――

 

 

 

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