TIME LIMIT〜新婚編〜 1





「いらっしゃいませ」



須本さんと付き合い始めて早4ヶ月。

私達は週末を利用して温泉旅館に来ていた。



 

 



コトの始まりは先週の土曜日。

いつも通り須本さんの部屋でおうちデートをしていた時に、私はついに彼に打ち明けたのだ。


「あの…、だいぶ慣れてきたから……いいよ」

「え?」

「……温泉行っても」



初めて体を合わせた私の19歳の誕生日の翌日。

『温泉でも泊まる?』

と提案して来た彼に、私は

『もうちょっと慣れてからにします…』

という返事をしていた。


あれから2ヶ月。

デートの度にエッチをしてきて、さすがに慣れてきたように思うのだ。

行為自体にも、彼の裸にも。

だから、そろそろいいかもしれないと思い、彼に温泉に行きたい旨を伝えた。



「じゃあ…来週末なら連休取れると思うから、一緒に行こうか」

頬を少し赤めた須本さんが、ノートパソコンを立ち上げ始めた。

旅行の予約サイトを開いて、早速どこに泊まろうか一緒に考え始めたのだった――


 

 





「ご案内します」


チェックインを終えた須本さんが、ロビーで待つ私のところへ仲居さんを引き連れて帰ってきた。

荷物も持ってくれた仲居さんに案内されて、私達は今日泊まる部屋へと向かった。


(ドキドキする…)


旅館のスタッフに私達はどう思われてるんだろう。

ちゃんとカップルに見られてるんだろうか。

やっぱり場慣れしてる須本さんは年相応に落ち着いて見える。

一方私はどっからどう見ても10代だ。

しかも私は結構童顔なので、もしかしたら高校生だと思われてるかもしれない。

年の差カップル…と思われてるならまだいいけど……


「ふぁ…」

須本さんが少し欠伸をした。

「大丈夫?運転疲れた?」

「ああ…ごめん。大丈夫だよ」


大学病院の医師は基本シフト制だ。

希望しない限り、土日両方が休みなんてことはまずない。

私達は温泉に行くことを先週突如決めたので、もちろんこの休みを確保する為に、彼は同僚の誰かと休みを代わってもらってるはずなのだ。

ということは、もしかしたら今週は平日に休みがなかったのかもしれない。

(一体何連勤してきたんだろ…)


「部屋に着いたらちょっと眠ったら?」

「ありがとう。じゃあお言葉に甘えてそうさせて貰おうかな…」


須本さんが仲居さんに聞こえない程度の小声で

「今夜も寝不足になりそうだしね…」

と私の耳元で囁いてくる。


もちろん私の顔は沸騰寸前になる。

それってそれってそれって……



「こちらの501号室になります」


到着したお部屋はいかにもな温泉の客室ではなく、ベッドも二つ置いてある和モダンな部屋だ。

もちろん須本さんと一緒にサイトの写真を見ながら選んだので知ってたのだけど、実際に足を踏み入れるとあまりに素敵な部屋でテンションが上がる。

仲居さんは部屋の説明の後、夕食の時間とか、大浴場の場所や開いてる時間など一通り説明してくれた後、帰って行った。


「とりあえず浴衣に着替えようか」

「う、うん…ソウダネ」


須本さんが早速服を脱ぎ出したので、私は慌てて自分の浴衣を持って浴室の方へ移動した。

こういう浴衣を着るのは何年ぶりだろう。

もしかしたら小学校の時の家族旅行以来かもしれない。

あの時はまだ身長も150pあるかないかぐらいだったので、子供用の浴衣を借りた気がする。

でも今日は大人の女性用のMサイズがピッタリ合って、何だか成長を感じた気がした。

もう身長だって162pあるし、胸だって今やCカップの私。

しかも今日は彼氏と一緒に来てしまったのだ、もう完全に大人の一員と言えるだろう。(フフフ…)


「お待たせ…」


ドキドキしながら部屋に戻ると、浴衣に着替え終えた須本さんが窓際で佇んでいた。

(めっちゃ絵になる…、カッコ良すぎる…)

私の声でこっちに振り向いた彼は、ほんのりと頬を赤く染めていた


「明菜ちゃん…浴衣すごく似合うね。可愛いよ」

「ありがとう…。須本さんもすっごくカッコいいv」

「ありがとう」

お互い照れてしまった。

時計を見ると4時だった。


「ごめん、ちょっとだけ横になるな」

「うん、休んで休んで。私は大浴場行ってくるね」

「うん」


さっき話してた通り須本さんはベッドに入ってしまったので、私は大浴場に一足先に向かうことにした。

お風呂の準備をして、起こさないよう、そ〜っと部屋を出た。


「えーと…確か8階って言ってたな」


エレベーターで8階に到着すると、大浴場の暖簾がすぐに見えた。

女湯の方に入ると、脱衣所には2組のお客さんの姿が。

一組は20代後半くらいのグループ3人組で、もう一組は5歳くらいの女の子を連れたお母さんだった。


(何か一人で入るのって恥ずかしいな…)


温泉に来た目的なんて一目で予想出来る。

3
人グループの子達はきっと女子旅だ。

そして子連れの方はもちろん家族旅行だろう。


(私はどう見られるんだろう…)


一人旅にはまず見えないだろう。

きっとあの子、彼氏と来たんだろなって思われてそうで……何だか無性に恥ずかしい。

もちろん他人のことなんて誰も気にしてないと思うけど。

でも須本さんが初めての彼氏で、今回が初めての温泉旅行だから……免疫が全然ない私はドギマギしてしまう。

浴衣を脱いで髪をお団子にした私は、いざ大浴場の中に向かった。


(わぁ…広い…)


5
つもお湯がある上、渓谷に面していて景色も開けているからか、すごく広く感じる。

とりあえず先に体を洗うことにする。

ふと鏡を見ると、前回付けられた胸元のキスマークが消えていることに気付いた。


(そりゃそうか…1週間も前だし)


前回須本さんと体を合わせたのは1週間前のおうちデートの時だ。

毎回どこかしらにキスマークを付けてくる彼。

今夜ももちろん付けてくるのだろうか……

その『今夜』というキーワードに顔が赤くなる。

何故なら夜を共にするのが実は初めてだからだ。

私達のデートはたいてい昼間にしていて、もちろん泊まったことなんてないのだ。

今夜は一晩中一緒…。


しかもさっき

『今夜も寝不足になりそうだしね…』

とか言ってた彼。



(にゃーーーどうしよどうしよどうしよーーー///


 

 

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