TIME LIMIT〜学歴編〜 2〜櫻井視点〜





(また2位だ…)



オレの通う進学塾で、定期テストの度に貼り出される総合結果順位

1位はいつも千葉校の『須本大樹』だった。


万年2位のオレはどうしてもライバル視せざるを得なかった。

塾の先生情報では、須本もオレと同じ開業医の息子で、医学部を目指してるらしい。

全国模試でも常にトップ10に入っていたオレら。

当然須本も医学部最高峰の東大理Vを受けるものとばかり思っていて、合格すればアイツとクラスメートになれると思っていた。

それなのに――


「は?九大?何で?!」


実際に須本が前期で受けた大学が九大だったと知り、オレは耳を疑った。

一瞬オレも後期で受けてやろうかと思ったけど、さすがに親にも先生達にも止められる。

納得いかなかった。


どうしてもひと言言ってやりたくて千葉校に乗り込んだオレに、

「誰?東大とか興味ないし」

と冷たい態度を取られる。


近くにいた彼の友達が、

「須本は高校生活で、勉強以外をエンジョイしてたからなぁ」

と教えてくれる。

彼女作って、部活動も全国優勝して。


「あと何か資格取りまくってたよ。大学入ったら医学の勉強しか出来なくなるから、他のは今勉強しておくとかで」

「資格…?」

「税理士とかFPとかAPとか…、英検1級にTOEIC900超えてたよ。あと気象予報士なんかも取ってたな」

「気象予報士…」


お天気お兄さんにでもなるつもりかよ?!

もう知るか!

とムカつきながら帰った。


でも大学ではオレも須本を見習って、恋人作って部活動にも入って、大学生活をエンジョイしてみる。

だけど……どうしても物足りなさをずっと感じていた。

(やっぱり無理矢理にでも九大に行くべきだったんだろうか…)


やがて大学6年になったオレは、研修医のマッチングの時期が近付いていた。

適当に都内の大学病院もいくつか候補に入れて、見学がてら話を聞いて回っていた時だった。

T医科大学病院を訪れた時に――なんと須本の奴と再会することになる。


「須本…」

「…誰だっけ?」

と言われてカチンとくる。

でも、もう二度と会えないと思ってたから、正直なところちょっとだけ嬉しかった。


「ここ…受けるの?」

と探りを入れてみる。

「んー、たぶんな」

「…ふぅん」


気付いたら、マッチングの第一志望にT医科大学病院を選んでるオレがいた――


 

 

 

 



「つまり櫻井先生は大樹さんのことが大好きなんだね!」

と須本の奥さんに言われてしまう。

「違うから」

と即座に否定する。


でも産科と小児科は隣同士で一番交流がある。

研修医の時から当直も一緒になることが多くて、何度も協力して患者の危機を救ってきたのは事実だ。

今はいい同僚であることは間違いないと思う。


(コイツとこんな風にヌン活する日が来るなんて思わなかったけど…)



「どれも美味しいね、櫻井さん」

「そうだな…」


恋人まで与えて貰うことになったのは癪だけど。

(でも愛のことが可愛すぎてもうそんなことはどうでもいい…)

もう絶対手放せないと思う。

彼女が大学を卒業したら、すぐにでも結婚したいと思う。


「愛、オレのことも下の名前で呼んでくれる…?」

「う、うん……慎一さん///


恥ずかしいのか、赤くなって下を向いてしまった彼女。

なんて可愛いんだろう。

この後、二人きりになったら愛でて愛でて愛でまくりたい。

抜かりなくこのホテルのデイユースを予約してあるのは言うまでもない話だ――


 

 


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