TIME LIMIT〜明菜編〜 8〜明菜視点〜





「落ち着いた…?」

「はい、ごめんなさい。いきなり泣いてしまって…」



私の涙が止まるまで、須本さんは優しく寄り添ってくれた。

手を握ってくれて…、頭を撫でてくれて…、肩を寄せてくれて。


(恥ずかしい…)


こんな子供みたいなことして、彼に呆れられるんじゃないだろうか

やっぱりもうちょっと歳の近い大人の恋人を作ればよかったと、後悔されるんじゃないだろうか。

そう思ったら急に怖くなった。


「ごめんなさい…、須本さんがあまりに女性に慣れてるというか……スマート過ぎて」

「え…?」

「どうしてもっと早く生まれて来なかったんだろうって思ったら…、急に涙が」

「…そっか」


須本さんが申し訳なさそうな顔をする。

こんな表情をさせたいわけじゃないのに。

笑顔でいてほしいのに。


「…同じだな」

「え?」

「俺も思ってたよ。明菜ちゃんのことを知った20歳の時から…。もうちょっと早く生まれてきててほしかったなぁ…って」

 


――え?

 

「そんな前から私のことを知ってたの…?」

「うん。一ノ瀬の彼女があんまり美人で羨ましくて、進藤さんにお姉さんか妹さんはいないんですか?って思わず聞いちゃってさ」

「……」

「そしたら妹がいるって言うから、紹介して下さいってお願いしたんだよな」

「そう…だったんだ」

「まだ8歳なんですって言われた時はショックだったな…。あと10年早く生まれてくれてたらなって…正直思った」

「……」

「でも、10年後に妹さんを紹介して下さいって…お願いしててよかった」


嬉しそうに須本さんが微笑んできた。

そして悲しそうに視線を下げてくる。


「ごめんな…、この10年間、1人で待ってあげられなくて…」

「そんなの…っ、当たり前です!須本さんみたいな人がずっとフリーなんておかしいし…!」


そうだ、ずっとフリーなんておかしいのだ。

だって私の恋人はこんなにもカッコよくて優しくて素敵な人なのに

引手数多な彼が私を選んでくれたことに、私は感謝しなくちゃいけないくらいだ。


「これからは私だけの須本さんでいてくれるなら……もういいです。過去を振り返って落ち込むのはやめます」

「うん…、俺はもう明菜ちゃんのものだよ。明菜ちゃんも……俺だけのものになってくれる…?」


熱を帯びた彼の瞳。

それが何を意味しているのか…分からないほど私は子供ではない

ゆっくりと彼の顔が近付いてくる……

傾げながら……唇が重なった――


「――……ん……」

まだ数えるほどしかキスをしたことない私。

でも今されてるこのキスは……今までのものと全然違う。

何度も啄まれて…、口内を探られていく…大人のキスだった。

とっても官能的で、それでいて心地よくて……うっとりするようなキス。

自分の体が少しおかしくなっていくのが分かった。

じわっと体の中心から何かが溢れて…熱くなる。


「――……は…、……明菜ちゃん……」

「須本さん……」


唇が離れた後、彼は私の手をとって……一緒に寝室に移動した。

初めて足を踏み入れる大人の男性の寝室。

実家にまだ残されたままの、兄の子供部屋とはまるで違う。

ベッドも大きくて……どちらかというと両親の寝室に雰囲気が似ている。

その縁に二人で腰掛けて……またキスを再開する。

今度はさっきより早く解かれ、代わりに首筋に唇を移動させてきた


「……ぁ……」


こそばゆい。

でも、とっても気持ちいい。


「明菜ちゃん…、好きだ……」


熱の籠もった声で囁かれて……胸が熱くなる。

彼が自分に欲情してくれてるという事実だけで…とても嬉しくなる。


「……ん……」


胸に伸ばされた手が優しく揉んでくる。

気持ちいいような……別にそうでもないような……不思議な感じだ

ただ、他人に体を触られるというこの行為をこんなにもすんなり受け入れられるのは……もちろん相手が須本さんだからだろう。


体を倒されて……跨がられる。

脱がされて……顕になる肌に口付けられる。

彼の動き、一挙一動がとても心地よくて……徐々に緊張が解れていく……


「ぁ…っ、…ぁ…っ」


下半身を触られ出した時にはもちろん恐怖もあった。

指だけでこんなに感じるのに…、彼のモノを受け入れたら私は一体どうなってしまうんだろう。


「明菜ちゃん……」


指先にもチュっとキスされる。

愛おしそうに…何度も。


「好きだよ…、世界で一番……誰よりも」

「須本さん……」


涙が出てくる。

その涙を舌で掬われる。


そして耳元で

「ゆっくり挿れるから…」

と囁かれる。

コクンと私は頷いた。


避妊具を付けた彼が私の中にゆっくりと腰を沈めていく。

少し進めては…戻して、徐々に深く繋がっていく。


「……っ…」

「……痛い?」

「だ…いじょうぶ」


うっすら目を開けると……裸な彼がいつもと違う官能的な表情をしていた。

情事の時はこんな顔をするんだ…と新たな発見をした。


「…ぁ…っ、…ぁっ、…須も…とさ…」

「は……明菜…ちゃん……」

「好き…、大好き……」

「俺もだよ…・、大好きだ……」

「…ぁ…っ――」


頭が真っ白になって、私は一気に脱力した。

すぐ後に彼の方も達したのか……ぐったりと私に体重を預けてきた

ぎゅっと汗ばむ彼の背中に手を回すと、まだ荒い呼吸をしたままキスされた―――


好き。

大好き。

もう絶対に離さない。

離れない。



彼は一生私のものなんだから――

 

 

 

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