TIME LIMIT〜明菜編〜 6〜明菜視点〜





「すみませーん、写真お願いしてもいいですか?」



合格発表から3日後。

恋人達のイベント、バレンタインデーがやってきた。

須本さんは日中仕事だった為、夜に待ち合わせてイルミネーションの綺麗なスポットにやって来た。

そしていっぱいツーショット写真を撮りまくった。


「えへへ、いっぱい撮れたね。一番綺麗なやつ現像してお部屋に飾ろ♪」

「そうだな」


8時にもなるとだいぶ冷え込んできたので、私達は手を繋いでその綺麗な並木道を一緒に歩いた。

彼の体温を直に感じて、気持ち的には体中ポカポカだ。


「もうすぐ卒業か〜、高校の3年間も早かったなぁ」

「何が一番楽しかった?」

「んー…修学旅行かなぁ?いや、文化祭?んー…、でもやっぱり一番はアレだな」

「アレ?」

「恋愛出来たことv」


春休みに初めて須本さんに会って一目惚れして。

目標の大学も決まってひたすら勉強して。

まさか須本さん自身に家庭教師をしてもらえるなんて思わなかった


「家庭教師で毎週会う度に、私ドキドキだったんだよ」

「俺もだよ」

「ホント?」

「うん」

「このネックレス…、本当に嬉しかったんだよ」


クリスマスに彼から貰った大事な大事なネックレスを今日も私は着けている。

私の一生の宝物だ。


「よかった…、そんなに喜んでくれたなら、2週間悩んで買った甲斐があったよ」

「え!そんなに悩んでくれてたの?」

「実はね。あんまり高すぎず安すぎず、重くならないように…でも軽く取られないように…、ってめちゃくちゃ悩みまくった」

「そうだったんだ…、ありがとう」


私の方も例のものを渡すために、カバンから取り出した。


「これ…バレンタインデーだから」

「チョコ?ありがとう」


ベンチに腰掛けた私達。

須本さんが包装を解いた後、早速一粒口に含んだ。


「手作り?上手だな」

「えへへ、毎年お姉ちゃんと一緒に作ってるんだ。昨日一ノ瀬家で作って来たんだよ」

「へぇ…そうだったんだ」

「私にとっては…、初めて作った本命チョコだよ…」

そう耳元で囁くと、口に含んだばかりの二粒目を須本さんは丸飲みして噎せていた。


「そ、そうなんだ…」

「うん♪嬉しい?」

「嬉しいよ…もちろん」

「合格発表の日にしたキスも、ファーストキスだからね」

「そ、そうなんだ…」

「うん♪嬉しい?」

「…そりゃね」


もちろん私はまだ処女だ。

きっと初めてもこの須本さんにあげることになるんだろう。

ドキドキだ。

どこですることになるんだろう?

やっぱり彼の部屋かな?


「……ねぇ須本さん」

「なに?」

「元カノさんとは……あの部屋でイチャイチャしてたの?」


元カノとイチャイチャした部屋で、イチャイチャしたベッドで、私もすることになるのだと思ったら…ちょっと嫌だった。

仕方のないことなのかもしれないけど……


「してないよ」



……え?



「別れた後、引っ越したからね。もちろんその時にベッドも新調してるから大丈夫だよ」

ベッドのことまでは聞いてないのに、私の気になってることを先読みして正直に教えてくれる彼に嬉しくなった。


「よかった。これで安心して出来る…かも」

「かも?」

「うん…、もうちょっと待ってね。まだ心の準備が出来てないから…」

「もちろん。いつまででも待つよ」

「えー…1年でも?」

「……それは自信ないかも」

「全然いつまででもじゃないじゃん」

「う…、ごめん」

「ううん。なるべく早く決心するからね。待っててね」

「うん……――」



とりあえず今日はキスだけ。

イルミネーションのキラキラ光るこのロマンチックなベンチで、私達はキスし始めたのでした――

 

 

 

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