●TIME LIMIT〜明菜編〜 4●〜明菜視点〜
「明けましておめでとう、明菜ちゃん」
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします
「こちらこそよろしく」
年が明け、私と須本さんは一緒に初詣でに出かけることになった。
二人きりで。
本当は姉一家も一緒のはずだったんだけど、綾ちゃんが熱を出した
拝殿に着いて、一緒にお参りする。
私の願いは一つ。
どうかどうか、須本さんがいる大学に合格しますように――
「あと2週間でいよいよ共通テストだな」
「うう…緊張します」
「大丈夫だよ。この1ヶ月で明菜ちゃん偏差値5は上がったと思う
「はい…頑張ります」
「俺もしっかりさっき神頼みしておいたから。明菜ちゃんが合格し
「ありがとうございます…」
話しながら一緒に駅まで戻り、帰路につく。
今日はお休みだという須本さん。
最後の追い込みに今日も付き合ってほしかったけど、さすがに発熱
お正月はファミレスもセルフカフェも激混みだから、長時間の勉強
「…重そうだね、そのリュック。何が入ってるの?」
「あ…、参考書とかです」
「お正月もやる気満々なんだな」
須本さんに感心される。
「じゃ、どこかで教えようか?」
「でもどこで…」
「んー…、どこも混んでるだろうから、俺の部屋でもいいなら招待
――え?
「…須本さんのおウチですか?」
「あ…ごめん。嫌なら別に…」
「いえ、行きます。お願いします」
JRで移動すること15分。
さすがお医者様。
彼が私を連れて行ったのは真新しい高層マンションの35階だった
「わぁ…すごい。夜景とかすごそう…」
もちろんワンルームや1Kではない。
推薦で早々に進路が決まったクラスの男子が見せてくれた、一人暮
広いリビングに上質そうな家具が置いてあるこの部屋はまさに……大人の男性の部屋だ。
(なんか急に緊張してきた……)
「適当に座って始めてて。コーヒー入れるから」
「あ、はい」
リビングの机に早速参考書とノートを広げた。
ふと、すぐ横のチェストの上に置いてある写真立てが目に入った。
そこに写っていたのは――姉と兄の合同結婚式後に行われたガーデ
千明お姉ちゃんと一ノ瀬お義兄ちゃんが並んで写っていて、姉の横
「……須本さんもお姉ちゃんの結婚式に来てたんですか?」
「え?ああ……うん」
「そうだったんだ…、全然知らなかった」
「…まぁ別に話したわけでもないしな」
「……」
でもどうして須本さんはこの写真を飾ってるんだろう。
そんなにこの友人の結婚式が良かったんだろうか?
2年近く経った今でも部屋に飾るほど?
「……須本さんてもしかして、お姉ちゃんのことが好きだったんで
「は?いやいやいや…、それは流石にないから」
「じゃあ何でこの写真を飾ってるんですか?」
「それは……」
コーヒーカップ2つをトレイに載せてこっちにやってきた須本さん
「……それしかないから」
「え?」
「明菜ちゃんと俺が一緒に写ってる写真が…、それしかないからだ
――え?
須本さんが恥ずかしそうに向こうを向く。
耳まで赤くなってる。
……こんなの反則だ。
こんなの、告白されたようなものだ。
ここは何て答えるのが正解なんだろう。
「えっと、えっと…、じゃあ受験が終わったら…」
「え…?」
「受験が終わったら、ちゃんとしたツーショット写真を撮りに……どこか一緒に行きませんか?」
須本さんが目を見開いてくる。
そして嬉しそうに私に向かって
「うん…、約束な」
と微笑んできた。
(可愛い……)
その後は予定通り最後の追い込みに入る。
共通テストは5教科だ。
それが1次試験代わりとなり、合格発表が2月上旬。
もし合格していたらすぐに2次試験の面接があり、その合格発表も2日後
(落ちたらどうしよう…)
という不安はもちろんある。
でも、4月にこの大学一本で行くと決めてから私は猛勉強してきた
姉夫婦にも須本さんにもたくさんお世話になってしまったから、絶