●TIME LIMIT〜恋人編〜 9●
軽く眠った後進藤のいるリビングにいくと、何やら物思いに耽った様子でフルーツをチョコの中でグルグル回していた。
そんな彼の隣りに腰掛けると……またしてもすぐに押し倒されてしまった―。
しかも意地悪く、胸と下半身と…どっちを触られるのが好き?とか聞いて来る。
そういうことを普通言わす?
聞かなくても僕の反応を見てれば分かるだろ?
……とか思いつつも真面目に考えて正直に答える僕。
「ひゃっ…、…あっ…ん…―」
すると更に下を触ってきた。
指だけでなく舌も使ってくまなく舐め上げられる。
その温かさや舌遣いが何とも言えないほど気持ちよくて…挿れてもないのに今にも達してしまいそうだ。
「すげ…舐めても舐めても溢れてくる」
「もう…、そう…いうこと…言わないで…」
「ヒクヒクしてるぜ?早く挿れてほしいって…」
「………」
「挿れてやろうか?」
「……うん」
小声で頷くと、進藤は少し微笑んで直ぐさま中に押し入れてくれた―。
「あぁ…っ…―」
何度も巧みな動きで突き上げてきて…僕を絶頂へと導いてくれる―。
「塔矢…っ、好き…だ」
「う…ん」
「好き…だ…」
「…ん」
「…っ……」
え…?
珍しく進藤の方が先に達した。
なぜ達したのが分かったか。
それは……僕の中でアレが溢れたからだ。
途端に一気に顔が真っ青になる。
「いやっ…!進藤っ!キミ…」
恐怖で震え出した僕を、彼は上からキツく抱き締めてきた―。
「ごめん…塔矢」
「どうしてこんな……ごめんで済まない!」
「ごめん…」
「ふざけるなっ!こんなの…契約違反だ!」
もちろんそんな契約はしてない。
だけど…普通の恋人にだって避妊ぐらいするだろう?
ただでさえ僕は元々一日限り…なのに―。
…今月いつ生理終わったっけ…。
覚えてないよそんなの…。
大丈夫かな…?
本当に大丈夫…?
「塔矢…こっち」
「え?」
進藤に手を掴まれて再び寝室に連れていかれる。
「ちょっ…進藤っ!…っ…―」
またしても乱暴にベッドに押しつけられて、さすがに僕も進藤を睨み付けた―。
「いい加減にしろ…何を考えてるんだキミは…」
「塔矢…オマエ今日…安全日?」
「そんなの…分からない」
「危険日の可能性もある?」
「だから分からないんだ!ちゃんと付けてくれ!でないと…もうこれ以上しないからな」
「今日一日は恋人だろ…?」
「確かにそうだけど!だけどそれは避妊してくれることが前提条件だ!」
「そんなに嫌…?オレの子供を身ごもるの…」
「え…?」
なに…?
一体何を言ってるんだ?
キミだって嫌だろう…?
「オレは…子供が欲しい」
「そ、そんなの…将来自分の奥さんにでも産んでもらえば?」
「オマエとの子供が欲しいんだ…」
「ぼ、僕はキミとは結婚しないぞ!」
「んなこと…分かってる。恋人にもなってくれないオマエが妻になってくれるはずねぇもんな…」
「じゃあ…」
「でも子供は欲しい…。オマエが手に入らないんだったらせめて…」
は…
はぁあ??
「なにバカなこと…。キミ、僕が好き過ぎてちょっと頭がおかしくなっちゃったんじゃないのか?!」
「そうかもな…。でも…欲しいんだ」
「そ、そんなこと言われても…」
「もちろん出来るまで…なんてことは言わない。今夜だけでいいんだ…。避妊外させて…」
「………」
それでもし出来なかったら…諦めるってことか。
でもどうしてだ?
どうしてそんないきなり…。
…いや、彼の中じゃ…いきなりではないのかもしれない。
進藤なりに僕の諦め方を探してくれてるんだろう…。
でも子供って…。
どこをどうやったらそんな発想が出てくるんだ?
さすが妙手の使い手。
若干20歳で三冠の発想はひと味違うな。
…って感心してる場合じゃないけど。
「分かった。今夜限り…だからな。出来なかったらもう僕のことは本当に諦めてくれ」
「うん…」
「この誕生日プレゼントも今年限りにさせてもらう。それくらいリスクを背負ってくれないと僕にメリットがない。いいな?」
「うん…分かってる」
「でもその代わり…もし、もしも出来た場合は……キミにあげる。ただし僕は産むだけだ。育てないし、僕が母親だっていう事実は周りにもその子にも隠してもらうからな」
「ありがと塔矢。それで十分…」
「……」
こんなこと言ったけど…子供なんてそう簡単に出来るものじゃないってことを知ってる僕は嫌な女だ。
母だってもう一人欲しかったけど出来なかった…と残念そうに話してくれたことがある。
そしてその出来難さは遺伝するってことも知ってる。
たとえもし今日が危険日でも、出来る可能性は極端に低いんだ。
ごめんね進藤…。
僕を諦めてもらうよ…―
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