●THORN PRINCESS 7●
「塔矢ぁ〜」
し終わった後もベタベタ僕に構ってくる進藤。
僕が背中を向けても…その背中に抱き付いてきて――後ろから抱き締めながら…首筋にキスしてくる。
「…な、もう一回挿れてもいい?」
「また?よくこんな昼間から何度も盛れるな…」
よほど溜めこんでたのか絶倫なのか知らないが……今朝からもう何回も彼に求められてる僕。
シャワーを浴びにいこうにも絶対に抱き付いた体を離してくれない。
こんなにしつこい男は初めてだ。
「――あん…っ」
「可愛い声…」
「キミが変な所を舐めるからだろ!あっ…こら…――…ぁ…」
そしてこんなにも飲み込みが早い男も初めてだ。
僕のツボやら弱い部分を回数を重ねるごとにどんどん熟知していって……一回目とはもう立場が逆。
今では僕が彼に好き勝ってされてる感じだ。
「塔矢…ここは感じる?」
「うん…」
「ここは?」
「ぁ…んっ」
「こっちの方がいいみたいだな♪」
「……もう」
僕が甘い声を出すと、進藤が意地悪く何度も弄ってくる。
「あっ、こら!また―」
唇が胸の上に吸い付いてきたので、慌てて彼の頭を押した。
気がつけば体中がキスマークだらけで……もうゲッソリしてくる。
「塔矢これでしばらくは他の男と出来ないな♪」
「全く…。こんなにキスしてくる男は初めてだよ…」
「え〜、好きな子には普通するだろ?オマエは今まで愛のないセックスばっかしてたから知らないんだよ」
「愛愛ウルサいな!そんなものなくったって僕は構わない!」
「寂しい女…」
「寂しい女で結構……っあ、やっ…ん―」
進藤の手がまたしても僕の秘部に触れてきた。
既にぐちゃぐちゃの中を…指で更にぐちゃぐちゃにされる―。
「…すげ、半分はオマエのじゃねぇな…」
「キミが中出しばかりするからだろっ」
「だよな〜。半分はオレのだよな〜。何か一体感っぽくて良くねぇ?」
「全然良くない!気持ち悪い!」
「えー…さっきは心地いいとか言ってたくせにぃ…」
「もう…知らな――…んっ…―」
キスで口を塞がれ、舌で口内を貪ってくる。
同時に胸も弄られて…秘部も触られ……僕の体はおかしくなってしまいそうだ。
「―…はぁ…塔矢…」
「進藤…」
唇を離された後、今度は頬にキスされる…。
そしてそのまま耳元に移動した口は…恥ずかしい愛を囁いてくる…。
「好きだよ塔矢…」
「…何度も聞いた」
「うん。でも今日ぐらい言わせてよ…」
「………」
「好きだよ…。大好き…」
『好き』を大安売りしてくる進藤。
あまり言われなれてない僕は、キミがそれを口に出す度に…胸がドキドキする。
でも好かれて悪い気は…しないな。
「挿れてもいい…?」
「…うん」
進藤が僕の体を布団に倒して――両足を限界まで広げられる。
もう何回目か分からない彼とのセックス。
徐々に手際もよくなって……僕はただ寝転がって絶頂を待つだけでいい。
「――あ…っ…ぁ…―」
「塔…矢…っ―」
目を薄く開けると……少し汗ばんだ進藤が必死に動いている姿が見えた。
彼のこんな一面…今まで僕しか見たことないと思うとちょっと優越感だ。
女もそうだけど…、男の人にとっても初めての相手って…やっぱり特別なんだろう?
一生忘れれないのかな?
キミの脳裏の中に一生今日この日の…このセックスが残る?
そう思うと何だか嬉しい…。
「忘れ…ないでね…」
「…え?」
「今日を忘れないでね…進藤…」
「忘れるわけ…ねぇじゃん」
「……」
「塔矢…?どうしたんだよ急に…」
ねぇ…進藤…。
僕はキミが羨ましい…。
キミの初めての相手は…キミが一番好きな相手になったんだろう?
キミはこれからも好きになった女の子と…ずっと愛のあるセックスをしていくんだろうね…。
いつか…結婚もするのかな?
キミならきっと…幸せな家庭を築くよね…。
もちろん囲碁の方も…今まで以上に…上に行くんだろう…ね――
「…進藤、キミは僕をこれからも抱きたい?」
「当たり前じゃん…」
「僕と結婚したい?」
「そりゃあ…出来るならもちろん…」
「僕と打ちたい?」
「うん…」
「…そう」
「なに?マジで結婚してくれんの?」
「逆だよ、進藤」
「…え?」
「僕はキミともう二度と寝ないし、もちろん結婚もしないし、今までと同様…絶対に公式戦以外で打たない」
「………」
これは復讐なんだよ、進藤。
僕はキミを苦しめたい。
僕がキミのせいで苦しんだのと同様…ね――
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