●THORN PRINCESS 25●
オレのせいだ。
オレのせいだ。
オレのせいだ。
塔矢が倒れたのも…そもそもの原因を作ったのも……全部オレのせいだ。
こんなことになるなら…昨日塔矢を大人しく実家に返すんだった…。
こんなことになるなら…結婚なんてするんじゃなかった…――
電話をかけてから10分後――救急車で塔矢は病院に運ばれた。
救急車の中で…オレは彼女の手を握り締め…ひたすら名前を呼びかける。
隊員が血圧はいくらだとか…意識がないとか…症状を病院に無線で伝えてるのが聞こえて……
「はい、妊娠24週目です。早産の可能性もあります」
それを聞いて…漠然と…産まれるのかな…って期待に胸を膨らませたりもした。
……だけど現実はそんなに甘くなかった……
病院に到着した後すぐに手術が始まって……危険を察っした医師から現実を突き付けられる。
――塔矢か――
――子供か――
どちらの命を優先するか…って。
『この子をよろしく』
まだ塔矢の意識がある時に託された台詞が…オレの頭から離れない。
「お願い。アキラさんを優先してあげて」
すぐに駆け付けた先生と明子さんからは…アキラの命を助けて欲しい…と。
…オレもそうしたい。
確かに子供も大事だけど……塔矢がいなくちゃ意味がない。
アイツなしでどうやってこの先生きていく…?
無理だよ…。
せっかく…せっかく夫婦になれたのに…――
「塔矢を…母体を優先してください…」
「分かりました。全力を尽くします」
慌ただしく手術室に戻って行った医師の姿が見えなくなった後――オレは床に倒れこんだ。
「進藤っ!」
「進藤君!」
何とか緒方さんと芦原さんが支えてくれたけど……
だけど……涙が止まらない…。
ごめん塔矢…ごめん…。
「進藤、まだ死ぬと決まったわけじゃない。二人とも助かる可能性だってある」
「…でも……」
…二人とも死ぬ可能性だってある…。
これでもしそうなったら……
「塔矢が……んだら………オレも…死ぬ…」
「進藤!馬鹿なこと考えるな!」
「だっ…て……」
オレのせい…。
オレのせいで…塔矢は妊娠して……
オレのせいで……倒れた……
オレが昨日…アイツの誘惑に負けて……抱いちまったから……
……全部オレのせいなんだ……
――2時間後
手術中の点灯が消えて、医師がドアから出てきた。
「母体は一命を取り留めましたが、…お子さんの方は残念ながら…出てきた時にはもう既に…」
一気にドッと涙が溢れ出る。
「うぁあああああああああ」
…こんなにマジ泣きしたの…佐為が消えた時以来かもしれない…――
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