●SAVING TABOO 4●
夫が診察を受けてから数日後――結果を聞きに、僕は一人で再び病院を訪れた。
不安と期待とが入り交じった待ち時間……同じ待ち合い室にいた妊婦さんに勝手に目がいく。
……いいなぁ……
早く僕も子供が欲しい。
夫を喜ばしてあげたい。
両親を安心させてあげたい。
そう思って臨んだ結果は―――
「ただいま、アキラ」
「お帰りなさい」
「結果…どうだった?一緒に聞きに行けなくて御免な。どうしても休めない会議があって…」
「ううん。結果、問題なかったよ」
「本当か!?」
「うん。ただちょっと普通より精子の量は少ないみたいなんだけど…、でも自然妊娠の可能性もまだ十分にあるって」
「そうか…うん、じゃあ頑張らないとな」
「そうだね」
結果がマル◎だと聞いて安心した夫は――直ぐさま僕を抱きしめてきた。
そのままその晩も、次の日の晩も、別に排卵日でもないのに僕らは抱き合うことになる。
念のため?
いや、これは夫婦仲が単にいいだけ。
結婚してから段々と減って夫婦の営みが――新婚当初に戻ったみたいだった。
「早く出来たらいいな…」
「そうだね…」
楽しみそうに僕のお腹を撫でてくる夫。
排卵日はもうすぐだね。
今度こそ…出来たらいいね。
ううん、きっと出来る。
そしたら喜んでね?
絶対だよ?
―――そうして
僕は排卵日前日――携帯電話を手に取った。
相手は…進藤。
躊躇いながら…震える手で番号を押す。
『もしもし?塔矢?』
「うん…」
『どした?』
「話が…あるんだけど」
『なに?』
「直接話したい。明日…赤坂のAホテルまで来て?」
『……いいけど。何時に?』
「15時に2015室。じゃ、よろしく」
―――夫と結婚して7年
僕は決してしてはいけない禁断の世界に足を踏み入れる―――
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