●SAVING TABOO 25●
「あなた…――」
進藤の家に泊まった翌日の晩―――僕はすかさず夫を求めた。
ここ最近、セックスの数が減ってきてる僕ら。
夫としてないのに子供なんて出来たら完全にバレてしまう。
そう思ったのに―――
「ん…ごめん、アキラ…。疲れてるんだ…」
「あ…ごめんなさい」
「お休み」
チュッと軽く頬にキスだけして眠ってしまった。
………どうしよう………
僕はもともとセックスには積極的な方ではない。
息子が出来る前も、排卵日以外に僕の方から求めたことはなかった。
出来てからは皆無に等しくて………
そんな僕が、何度も求めたら夫は変に思うだろう。
しかも夫はこの春から会社の役員になっていた。
前より疲れてるような印象を受ける。
きっと僕を構うより…睡眠を少しでも長く取りたいはずだ。
じゃあ夫からの抱擁は期待出来かも……
案の定、次の日もその次の日も……夫は先に眠ってしまった。
そして今月はまだ生理がこない…。
………どうしよう………
「進藤…」
次の手合いの帰り、僕は帰ろうとする進藤を呼び止めた。
「ん?何?塔矢」
「ちょっと時間ある…?」
思い詰めた様子の僕に、彼も真面目な顔になる。
「いいぜ。場所変えるか」
いつものセルフカフェの一番奥の席。
注文したアイスコーヒーに手も付けず、僕は泣きそうに俯いてしまった。
「何かあったのか?」
「………」
「子供…出来たとか?」
「…それ以前の問題…」
「は?」
恥ずかしいけど、僕はあの後まだ夫と関係をもってないことを話した。
そして生理がまだ来てないことも……
「はは、オマエの夫早から枯れちゃった?」
「これ以上開くと…もし出来てた場合に矛盾が生じてしまう…」
「ついに離婚の危機だな」
まるで面白がってる進藤の顔を睨んだ――
「ま、一度検査してみろよ。出来てなかったらどうでもいい悩みだろ?」
「う…ん」
その晩―――僕は恐る恐る検査薬で調べることにした。
結果は―――陽性。
…やっぱり…
一気に目の前が真っ暗になる…――
「あなた…」
恥を承知でその晩は夫の上に自ら乗ってみた。
拒まれても、その気にさせる。
今夜は何がなんでもする。
「アキラ…?」
「洋人が…兄弟が欲しいらしいの。あなたも協力して…?」
「………」
「あなた…?」
「はは…」
夫が…笑ってきた。
「アキラ…何焦ってるんだ?」
「…え?」
「最近やけに積極的じゃないか」
「………」
「本当に洋人の為か?」
「………」
「何か隠してるんだろ?」
「………」
「実はもういたり?」
「……え?」
「君のお腹に…彼の子供が」
え…?
「俺が気付かないとでもっ――…っ…ぅ――」
「あ…あなたっ?!」
NEXT