●SAVING TABOO 22●




かおると洋人の問題を除けば、オレは今ものすごく幸せなんじゃないかなって思う。

塔矢と一緒に買い物にも食事にも海にも山にも祭りにも行きまくれてるし(全部子供付きだけど)

しかも夫もあかりもいない今日みたいな夕食は、まるでオレらが子沢山の夫婦になったみたい。

少々ニヤけながら車で塔矢の家に向かった――



「お待たせー」


両家全員が乗れるようにと買い換えた8人乗りのミニバン。

いつもはあかりが座る助手席に塔矢が座ってるのはすげー嬉しい光景。

二列目に子供達4人が仲良く座って、いざ出発した――



「どこ行く?」

「んー、やっぱりファミレスかな?お子様メニューあるしね」

「だな」


ほんの数キロ先にあるファミレス。

今までにも何回か来たことのある、子供達もお気に入りの店だ。

他の客に迷惑にならないよう常に見張ってなきゃならないのは正直大変だけど、今日は塔矢と一緒に子育てしてるみたいですごく楽しい。

特に洋人は本当にオレ達二人の子供。

本当の父親になれたみたいでかなり嬉しい。

もちろん洋人には『おじさん』って言われるけど……





「……いいなぁ」

ボソッと洋人が小さな声で呟いた。

「どうかした?」

「ママ…ボクもおにいちゃんとおねえちゃんがほしい」

「……え?」


洋人の視線の先には仲良く兄弟喧嘩するオレの子供達の姿があった。

実際には兄弟だけど、そんなこと知りもしない洋人が羨ましがるのは当然のことだ。


「ごめんね…。でもかおるちゃん達がいるから寂しくないでしょ?」

「う…ん」


頷くものの、明らかに寂しそうな顔をする洋人に塔矢は申し訳なさそうに眉を傾けた。


「だいじょーぶだって洋人〜!兄ちゃん姉ちゃんは無理だけど、妹弟ならすぐママが産んでくれるって!」

「進藤っ!?」

「ほんと…?ママ…」

「え…」


オレの発言にぎょっとしつつも、期待の目を向ける息子にタジタジの塔矢。


「あ…うん。そうだね…頑張るよ」


変な期待させないで!とオレを睨む塔矢。

いいじゃん、期待させてやれよ。

つーか、そろそろ二人目作ってもいい頃なんじゃねーの?

オレならいつでも手伝うぜ?







オレらの子供が生まれて早5年。

人間ってのは欲の塊だと最近つくづく思う。

一度味わった幸せな時間を再び味わいたい。


塔矢を……抱きたい。







「…な、塔矢。今夜うちに泊まらねぇ…?」
















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