●SAVING TABOO 21●



試練?

いや、これは天罰なのかもしれない――






「ママ、おおきくなったらかおるちゃんとけっこんしたい」


進藤並の大きな目をキラキラさせて、息子の洋人(ひろと)が僕にそう言ったのは4才の時。

かおるちゃん――本名・進藤かおるはもちろん進藤の次女のこと。

小さい頃から一緒に育ってきた二人は本当に仲良しで、常に手を繋いで行動するぐらい。

周りはこの小さな可愛いカップルに、微笑みの目を向けてくれる。



問題は――――実は腹違いの姉弟だってことだ













「「はぁ…」」


昼下がりの午後。

いつもの公園のベンチで、僕と進藤は同時に溜め息をついた。

数メートル先には僕らの子供達が仲良く砂遊びをしている。


「…珍しいね。今日はキミが子守?」

「ああ。あかりの奴、中学ん時の友達と旅行だってさ」

「そう」

「つーか今のオレらさ、周りから見たら『夫婦と子供二人』に見えねぇ?」

「笑えないね」

「ああ、笑えないな」


お互いもう一度溜め息をついた。





――会わせない方がいい――




そう思ったのに…どうしてこんなことになってしまったんだろう。






砂場から今度は草むらに移動した子供達。

春の今の時期はタンポポやクローバーが一面に花を咲かせている。

次々にブチブチ採って、彩りよく花束にする息子。

シロツメグサを器用に編んでいくかおるちゃん。

出来上がった冠を頭に乗せて、その花束を持ったら小さな花嫁の出来上がりだ。


「パパ〜みてみて〜」

嬉しそうに僕らの元に走ってくる子供たち。

「おー、キレイになったなかおる」

「エヘヘ〜。おおきくなったらヒロトくんのオヨメさんになるの〜」

「はは…」


笑うしか出来ない僕ら。



『大きくなったらパパのお嫁さんになる』


というのはよくドラマや漫画で出てくる決まり文句だ。

でも実際には成長するに渡ってちゃんと同年代の子を好きになっていく。

むしろ父親は毛嫌いされる存在になる。

女は遺伝子的に遠い男性を好むから、そうなるのは当たり前のことなんだけど…。

でも、それならこの子達の場合も期待出来る?

いや、そうならないと困る。











「もう16時だね。そろそろ帰ろうかな」

「塔矢夕飯どうすんの?」

「夫も新入社員の歓迎会で帰るの何時になるか分からないって言ってたし、適当に有り合わせで作るよ」

「じゃあさ、一緒に外食しねぇ?あかりがいないとメシに困るんだよなー」

「…別にいいけど」


僕がOKすると微かにガッツポーズをした進藤。


「かおる〜夕飯は洋人君と食えるぞ〜」

「ホント?!」


子供達も大喜び。

取りあえずは進藤の上の子供達が帰って来てから一緒に行くことになった。



「じゃあ塔矢、後でオマエん家に迎えに行くから」

「ああ」

















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