●SAVING TABOO 18●




「――やっ…、あ…っ、ん…ぁん…っ――」




一体オレは何をやってるんだろ…。

アイツの代わりになるって言ってきたあかりに縋るように抱き締めて…そのままベッドインするなんて――



「アキ…ラ…アキラ…――」



アイツの名前を繰り返しながら……一生分泣いた気がする。

疲れて何も考えられなくなるまで激しく何度も突いて…出しまくって…



「ヒカル…」


おかしくなっていくオレを受け止めてくれる。

目茶苦茶するオレを一切拒否しないでずっと後頭部を撫でてくれる優しい幼なじみ。


でも今のオレの頭の中にはお前はいなくて、代わりにアイツが幻影で見える――














「ヒカル…。落ち着いた…?」

「………」



――翌朝

何となく頭も体もすっきりしつつも、現実を思い出すとまた落ち込んできた。

塔矢が結婚した。

昨日が初夜で……今日からハネムーン……

したくもないのに嫌な想像が勝手に頭に浮かんでくる…。




「何か食べる?私用意してくるね」


そう言ってベッドから起き上がったあかりの手を引っ張って―――再び組み敷いた。


「ヒカル…」

「…ごめん」

「…いいよ。好きなだけ…して?」

「ごめん…」


あかりが学生なのをいいことに、ほぼ監禁状態にして毎日やりまくった。

離れてるのはオレが棋院に行ってる間だけ。


でも帰って来たら夕食を作ってくれてて…

風呂も涌いてて…

掃除洗濯も完璧で…


まるで新婚?






「お前……いい奥さんになるよ…」


そう言いながら食事を機械的に口に運ぶオレを見て、あかりは眉を傾けて笑っていた――














そんな生活が3ヶ月ぐらい続いた後だったかな?

仕事から帰るとあかりがぐったりとソファに倒れていた。


「…あかり!?大丈夫か!?」

「うん…」


気持ち悪そうに吐くのを必至に押さえている。


「ごめんヒカル…」

「え…?」

「できちゃった…みたい」






―――え?






「産んでも…いい?」

「………」


産みたいと言ってきたあかりに、オレは首を縦に振ることができなった。


とりあえず藤崎のおじさんおばさんに謝りに家に行くと、怒られる代わりになぜか歓迎されて――

オレの両親も喜んでて――


気がついたらオレはあかりと結婚することになっていた。








――もういいや……どうでも…――














あれから7年が経つけど、相変わらずどうでもいいと思っている。

だから、あんなにも簡単に浮気して…他で子供も作れたんだと思う。

もちろん、相手が塔矢だったからだけど。



なぁ、あかり。


お前…バカだよ。

なんでこんな最低男が好きなんだよ。

お前ならもっといい男と結婚出来たはずだぜ?

もっと幸せになれたはずだぜ?

バカだよ…お前。








「ヒカル、お帰りなさい」

今日も何も知らずに笑顔で出迎えてくれる妻。


「ただいま」

騙し続ける夫。




いつまでこんな関係が続くんだろうな―――

















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