●SUMMER VACATION 13●







「あ…っ…、ぁあ…っ――」




再び繋がった体。

二度目だから快楽を求めて容赦なく突いた。

脚を顔近くまで折り曲げると、奥の奥にまでオレが入る。

注ぎ込むように出してやった。


「…や…ぁ…っ……もう…」

「は…気持ちいい」

「酷い……また出した」

「だってオマエに帰ってきてほしいもん」

「………」


スチュワーデスの流産率の高さはオレも知っていた。

妊娠したらすぐにでも辞めなくちゃいけない仕事。

別にそれを狙ってるわけじゃないけど、塔矢が戻って来てくれる可能性が高くなるなら何でもする。



「…え…?な、なに…?」


ベッドの上で塔矢の足首を掴んだまま立ち上がってみた。

当然彼女は半分逆さ釣り状態になる。


「…な、こうすると妊娠しやすくなるってホント?」

「知るか!降ろせ!進藤のバカ!」


む。


「オマエ、オレのこと好きじゃねーのかよ。嬉しいだろ?オレとの子供が出来たら」

「ふざけっ…るな」


脚をバタバタさせてきた。

でも力はオレの方が上。

ガッチリ掴んで離さない。


「進藤…こんなの意味ないよ……降ろしてくれ」

「やだね。オマエが棋士に戻るって言うまで離さねー」

「返事…急がないからって、言ってたじゃないか…。成田に戻ったら教えて…って」

「あ、そっか」


パッと手を離した。

ドサッと彼女の体がベッドに落ちる。



「ゴメン…。オレ焦ってて…」

「キミ…馬鹿じゃないのか。これで本当に出来たらどうするんだ…。好きでもない女と責任取って結婚するのか?」

「はぁ?好きだって言ってんじゃん!」

「言ってるだけだ。中身がない」

「そんなこと……」


塔矢は鋭い。

半分……当たり。

塔矢に帰って来てほしいから、彼女をその気にさせる為に好きって言ってるのは嘘じゃない。

少なくとも行きの飛行機はそうだった。


でも、改めてずっと一緒にいて………



「もう……オレの前からいなくならないで欲しいんだ。それは確か…だよ」

「………」

「結婚…は理想だよ。家に帰ったらオマエがいてくれる…、ずっと…一生一緒にいられる…」

「進藤………ぁ…」


抱きしめて―――首筋にキスをした。


痕がつくように……オレのものだっていう証を残す。



「また夜……抱いていい?最後に…」

「……うん」


「――…ん……」


もう一度だけキスをして、彼女の体を離した。



シャワーを浴びて、昨日買ったばかりの新しいスーツに着替える。

塔矢もより一層大人っぽいドレスに着替えて、化粧を始めた。


「どこ食べに行く?」

「どこでも…」

「んー…こんな時の為のコンシェルジュか」



これぞ本当の最後の晩餐?

最後にしたくないけど、最後になるかもしれない。

塔矢の手をぎゅっと握って――― 一緒にレストランに向かった。
















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