●SUKI 4●


塔矢と入れ替わりで風呂に入り、また客間に戻ってきた時には社は眠りについていた。

大きな鼾をかいて気持ち良さそうに眠ってるから、朝までは起きないだろう。

そうっと客間を出て、塔矢の部屋に向かった。


「塔矢ー入るぜ?」

「あ、うん」

入ってみると、塔矢はいつかの棋譜を並べていたみたいで、碁盤の前に座っていた。

オレを見て、またちょっと顔を赤めた。


「あのさ…」

「え?」

「オレさっきは一回抱くだけみたいなこと言ったけど、やっぱり…付き合ってもいいぜ?」

「え…」

塔矢の目が大きく見開いた。

「本当に…?」

「あぁ」

「…でもキミ、好きな人はいないって…」

「あぁ、いねーよ。いねぇからオマエと付き合うんだよ」

塔矢が茫然とオレを見つめている。

「オレって…人を好きになったことねぇんだ…。だから社に相談したら、そういう奴は誰かと付き合ってみるのがいいって言われたからさ…だからお前と―」

「…そう…なんだ」

「あ、嫌か?そういうの…」

塔矢が首を横に振った。

「全然…キミと付き合えるなんて思ってもなかったからすごく嬉しいよ…」

ものすごい笑顔を返された。

え…何か…いつもと違わねーか?こいつ…。

いつもは人のこと貶しまくって怒鳴ってすぐケンカして…。

それなのに今は何でこんなに柔らかい表情してんだよ。

ちょっと…いや、かなり…可愛いかも…。

オレの方も少し顔が赤くなった。



「……」


どうしようかな…。

抱いて…いいんだよな?

微妙な距離をおいてのこの沈黙が耐えられねぇ…。

塔矢は真っ赤な顔して下向いてるし…。

オレが触れるの待ってるのかな…?



じゃあ―


「塔矢…」

近付いて、塔矢の頬を掴んで…キスをしてみた―。

「―…ん…っ…」

塔矢がすごく緊張してるのが伝わってくる…。

でも…キスだけでも思ったより十分気持ちいいかも―。

塔矢の温かな唇をついばんで、更に深く重ねてみた―。

「ん…、ん…っ」

隙間から舌も入れてみて、塔矢が少し返してくれたのを見計らって―無我夢中で貪りあう。

「んっ…ふ…、ん―」

少し目を開けると、ぎゅっと瞑られた塔矢の目がすぐ近くにあって…ちょっと嬉しくなった―。


「―は…ぁ…」

唇を少し離すとお互いの口を液体が伝った。

「塔矢…」

「進…藤…」

オレの胸に寄り掛かってくたっとしてきたので、すぐさま抱き締めてみた―。

「オマエって…初めて…?」

「…うん」

社は初めて同士はダメだとか言ってたけど、相手が初めての方が断然嬉しんだけど―。


「オレも…よく分かんねぇから、どうして欲しいか…言ってくれよ?」

「…うん」

このしおらかな感じがちょっと堪らない―。

塔矢のパジャマのボタンを一つ一つ丁寧に外してみて、暴かれてきた肌にキスをした―。

袖を通して上半身をすべて暴いた後、オレの方も上服を脱いで肌と肌を合わせ…そのまま布団の上に押し倒した―。




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