●STAY NIGHT 4●
「進藤っ!!」
「も〜分かったから。ウルセェなぁ…」
塔矢と飲み始めて約1時間。
最初はまじめに囲碁の話とかしてたオレらだけど、今じゃお互いすっかりでき上がり…話の内容も塔矢の愚痴に変わっていた。
「だいたいキミはお腹が弱すぎるんだ!持ち時間の大半をトイレに使うなんて馬鹿げてる!」
「ウルセェウルセェ。ちゃ〜んとトイレの中で考えてるって〜」
「確かプロ試験の時も一度あったな?キミがあーんな弱い外来に負けるなんておかしいと思った」
「よくそんな昔のこと覚えてるなぁ…オマエ」
「僕はキミに関することは忘れないんだ。ライバルだから」
「ライバル〜?いつから?」
「始めて打った時から、だ」
「嘘つけ。オレのこと散々無視したくせにー」
「キミだって僕に散々打たない打たない打たないって…。僕は打ちたいのに!」
「今は打ってるから別にいいだろ〜?」
「よし、今から打とう」
「やーだ。もう寝るもん」
「じゃあ僕も寝る」
一緒に立上がり隣りの客間に移った。
塔矢は右手に缶を持ったままだ。
「そういやお前…オレに聞きたいことあるって言ってなかったか?」
「そうそう。そうなんだ。僕はキミと恋バナがしたいんだ。だから布団も二つ敷いた」
「恋バナ〜?面倒くせぇ」
お互い布団に座って向き合った。
塔矢は酔ってても正座をして、キリッとこっちを見てくる。
「キミの好きな人とは一体誰なんだ?」
「好きな人〜?んなもんいねぇよ」
「嘘だ!キミは昨日ハッキリいるって言ったぞ!」
「昨日〜?あー…あれね。あれはウ・ソ」
「ウソ?」
「だってアイツらウルセェんだもん。オレとオマエがやっちゃってるー!みたいに言いやがって…」
ん?
てことは塔矢は昨日の会話を聞いてたってことか?
ど、どこまで?!
まさか全部?!
「塔矢、昨日盗み聞きしてたのか?」
「失敬だな。あんな大声で話してたから、聞こえただけだ」
「全部?」
「いや?キミが好きな人がいるって言ったところまで」
…ほっ。
取りあえずその後の下世話な会話は聞かれてねぇみたいだな。
まぁ聞いてたら、こんなにのうのうと布団を並べて敷くなんてことしねぇか。
「塔矢さ〜マジで今夜オレの横で寝るつもり?」
「駄目?」
「いや?オレは別に構わねぇけどさ…」
「じゃあ寝る」
塔矢がゴロンと布団に横になった。
「あのさー、オレだって一応男ってこと分かってる?」
「分かってるよ」
「じゃあそんな無防備にされたら襲っちゃうかもしれねぇぜ〜?」
「えー…何するんだ?」
「エッチなこと〜」
オレの方も塔矢のすぐ横に寝そべって、視線を合わせた。
「それってセックス?」
「うん」
「僕としたいのか?」
「うん」
少し頬を赤めた塔矢はどうしよっかな〜と上を向いて考え始めた。
「…僕のこと好きって言ってくれたらいいよ」
「マジ?好き好き大好き!」
「何か愛がこもってない…」
「んなことねぇよ〜。愛してるぜ塔矢」
ちゅっと頬にキスしてやると、塔矢は嬉しそうに微笑んだ。
「仕方ないな。じゃあいいよ」
「エッチなことしても?」
「うん」
「明日の朝怒らねぇ?」
「たぶんね」
「なんだよそれ〜。曖昧だなぁ」
苦笑しながら再び頬にキスをして、そのまま塔矢の唇までずらしていった―。
「…ん…っ…―」
悪いな、塔矢。
練習台になってもらうぜ…。
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