●SEINA U 4●





私がお風呂に入ってる間に、佐為は夕飯を食べてしまったらしい。

佐為がお風呂に入ってる間に、私は髪を乾かしたり…心の準備もした。

緊張する。

朝から緊張しっぱなしだけど、今が最高潮だ。


机に置かれている佐為の携帯。

メールやらLINEやらの着信音がさっきからすごい。

きっと全部おめでとうメールなんだろうな。


私の携帯の方にも何通か来た。

私達の関係を知ってる人達からだ。

彩からも来た。


『精菜〜お兄ちゃんやったね!今夜はお兄ちゃんへのプレゼントになってね★』

「……」


すごい内容のメールだ。

私ってプレゼントなの?

私は今日大阪に行くことを誰にも言ってない。

もちろん彩にも言ってない。

でも同じクラスな彩は私が学校を休んだだけですぐにピンと来たらしい。

恥ずかしい……



「精菜?どうかした?」

「え?!」

携帯を凝視していたら、佐為がいつの間にかお風呂から出ていたらしい。


「…………」

「どした?」


ホテルの備え付けのパジャマに着替えた佐為。

もちろん私も同じ格好なんだけど……なんか、めちゃくちゃ恥ずかしい……


佐為がさっきから鳴り続ける携帯を手に取り、何か弄って直ぐにまた机に置いた。

「煩いから電源落とした」らしい。


「…返信しなくていいの?」

「全部返信してたら朝になるよ」


苦笑しながら佐為が私のすぐ横に腰かけてきた。

そして直ぐ様「精菜……」と抱き締めてくる。


「佐為……」

「緊張してる…?」

「……うん」

「僕もだよ。でも…すごく嬉しい」

「4年以上も待たせてごめんね…」

「待った甲斐があったよ。こんなに嬉しい日に…精菜と一晩中一緒にいられるなんて幸せだ」

「私も嬉しい……本当におめでとう佐為…」

「ありがとう…」



最初は優しく口付けて。

私達は徐々に深く…いやらしいキスをし始めた。


「――……ん…、ん……ん……っ」


私はまだ15歳だけど、小3…8歳の時からキスはしている。

ずっと同じ人と。

ずっとこの佐為とキスを繰り返している。

きっともう何百回もしてる。


それなのに…相変わらずドキドキして、胸が張り裂けそうになる。

心地よくて、気持ちよくて、もちろんこんな感じの恋人同士の深いキスを続けていたら、次第に体が熱くなってくる。

佐為も同じなのかな?

キスしたまま……体をベッドに倒された。


もちろん今まで散々体を触り合ってたから、下から見上げるこの態勢も見慣れている。

見慣れているはずなのに……何だか今日はめちゃくちゃ恥ずかしい……


きっといつもと場所が違うからだ。

いつもは決まって私の部屋。

両親の留守中にしていた。

他の場所でしたことはない。

佐為の部屋ですらしたことがない。

(しようと思ったことはあるけど、いつも彩の邪魔が入るのだ)


だからこんなホテルで、こんな広いベッドで、一緒に体を横たわらせるなんてもちろん初めての経験だ。




「――……は…ぁ…」


離れた彼の唇は、そのまますぐに私の頬に、耳に、そして首筋に移動した。

パジャマの上から少しだけ胸を揉まれて、そしてすぐに彼はボタンに手をかけた。

一つ一つ外されて、徐々に露になる肌に直ぐ様口付けられる。


「……ぁ…っ…」


いつもは服の下には必ず下着がある。

でも今日は私はブラをしなかった。

何だか初めて体を触られた小5の時を思い出す。

あの頃は私はまだAカップで当然ブラもしていなかった。

し始めたのは小6になってから。

佐為に揉まれ出したからなのか、それとも単なる成長期なのか分からないけど、急に胸が大きくなってきたのだ。

ブラをし始めた後、初めて体を触り合った時、佐為がホックを外すのに苦戦していたのを思い出す。

もちろんすぐに彼は慣れて、今では片手でも余裕で外してくるけど。



「……ぁ……」


私の体を知り尽くしてる彼は、どこをどうすれば私が感じるのかも全部分かっていて、執拗に攻めてくる。

気持ちよくて……もっとしてほしくて、そして連動するように下半身も濡れてくる。


「……ぁ……っ……」


下も触ってほしいと思ったベストタイミングで下に伸びてくる手、指。

優しく弄られるとすごく気持ちいい。


でも、今までは私をイかすのを目的で彼は触ってきていた。

ほとんどが前の方だけで、もちろん指も中に入れられたことはあるけど、1本だけ。

しかもそんなに奥までいつもは入れない。


でも今日は目的自体が違うから……彼の触り方もいつもと違う。



「……んっ…」

「痛い…?」

「ん……大丈夫」


1本が余裕だと分かると2本入れられる。

中を掻き回される。

出し入れされる。

気持ちよさより怖さの方が勝ってきて、ちょっとだけ体が強ばった。


佐為が一旦体を離して、自分のパジャマも脱ぎ出した。

彼の裸もまぁまぁ見慣れてるはずなのに、今日の私は直視出来なかった。


恥ずかしい……

電気を消してほしい……


もちろんこのホテルの照明は私の部屋より暗い。

間接照明というやつだろうか。

ちょっとロマンチック。


私の気持ちを察してくれたのか、サイドデスクのボタンを少し触って、少しだけ暗くしてくれた。

そしてもう一度、私を上からぎゅっと抱き締めてくる。

肌の温かさを直に感じて心地いい。

安心する。



「精菜……いい?」

「……うん」


緊張する。

でも佐為もきっと緊張してる。

もう7年近く付き合ってるけど、これからすることはお互い未知の領域だ。


再び手が下半身に伸びてくる。

もう一度、場所を確かめるように指が入ってくる。

そして――



「――……ん」


押し込まれて、ものすごい圧迫感を感じた。

やっぱり指とは全然違う、貫かれる痛みが走る。

私はシーツをぎゅっと握りしめて、耐えた。


「は……精菜、大丈夫か…?」

「……うん」


佐為もキツくて苦しいのか、少しだけ顔が険しい。

お互い初めて。

正しいやり方なんて分からない。

でも、きっと間違ってない。

だって、確かに痛いけど、こんなに……嬉しいから。

ずっとずっと大好きだった人と、やっと一つになれた喜びの方が、痛さより遥かに上回っている。


「精菜……」

チュッと頬にキスされる。

耳元で「好きだよ精菜…」と囁かれる。


「一生大事にするからな…」

「うん…私もずっと佐為のそばにいるね…」

「うん…――」


もう一度キスをして、そしてそのあと彼は動き出した。

ギシギシなるベッドがちょっとイヤらしいなぁなんて、うっすら思いながら。

痛さから次第に変わってくる快楽に身を委ねた。


「ぁ……っ、…ぁ…んっ」


勝手に声が出る。

汗も出る。

彼の額も、背中も汗ばんでいた。


「精菜……」

「ん…っ、…佐…為……私、もう……」

「……僕…も…」


頭が真っ白になる。

お互いに達して、脱力した。

荒い呼吸を整えながら、私達は見つめ合った。


お互い微笑んで、そしてもう一度唇を合わせた――











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