●ROOM SHARE 7●
「やべ…緊張してきた」
塔矢の浸かった風呂に浸かってるってだけで、反応してきたオレの体。
アイツに先に入ってほしかったのはもちろん一回抜いておく為だ。
アレの匂いとか、残ったらやだし。
でも男が長風呂なのって何だか変だし、さっと抜いて、ささっと洗って浸かって、さっさと風呂から出た。
「塔矢〜打とうぜ〜」
部屋に戻ると塔矢の姿はなくて、彼女の部屋から何だか笑い声が聞こえた。
電話中…か?
ツンツンと彼女の肩をつっ突いた。
「あ、進藤帰って来た。ちょっと待って」
「…誰?」
「社。今、新宿のホテルなんだって」
「え」
「はい。代わる」
電話を渡されたのでしぶしぶ耳にあてた。
「……もしもし?」
『おお!進藤ー!聞いたで!というか関西棋院でも噂になってるで!お前らの同棲っ』
「同棲じゃねーし。ルームシェア。和谷や伊角さんも一緒」
『よく似たもんやん。にしてもおもろいもん始めたな〜。いいな〜俺も住みたいわ』
「あいにく余ってる部屋はねーよ」
『はは、冗談やって。でな、今から行ってもいい?』
「…は?」
塔矢に視線を向けると、彼女も困ったように首を傾げた。
「いや……今日はちょっと…」
『あかん?』
「今日は伊角さん達いないから…さ。明日もこっちにいるんだろ?どうせなら明日皆でトーナメント戦しねぇ?」
『んー、まぁそれでもいいけどな。なんやなんや〜今夜邪魔されたくないことでも二人でする気なん?やらしー』
「ば…、んなわけねーだろっ!じゃあ明日な!」
ピッと携帯を切った。
三人で今夜打ちまくるのも、確かに北斗杯以来だし面白いかもしれない。
でも、今夜はせっかくのチャンスなんだ。
「塔矢っ!」
彼女の手を掴んでオレの部屋に引っ張っていった。
ベッドに座らせて、オレも横に座って―――
「あの…さ、オマエ…オレのこと、どう思ってる?」
「え?」
「ライバル以上に思ってる?」
「…ライバル以上って?」
「…和谷に言われた。普通のライバルは体を触りあったりしないって」
「……」
「あ…あれはどういうつもりだったんだよっ」
何だか余裕がないオレ。
クスって笑われた。
「どういうつもりって言われてもね…」
オレの手を取って―――再び胸にあててきた。
「嫌いな人に…こんなことしないよ」
「じゃあ、好き…ってこと?」
「うん。キミは…?」
「オレ……も…好き」
「本当に?」
「……」
本当に?と聞かれると考えてしまう。
嫌いではないけど……好き?
単にエッチがしたいだけ?
いやいやそんなことない。
塔矢だから……
塔矢をオレだけのものにしたいから―――
「オレ、オマエを誰にも渡したくない」
「ふぅん…」
「だから……付き合ってほしい」
「それって僕を女として見てるってこと?」
「あれは…っ!最初から見てたし…」
触れている胸を……揉んでみた。
柔らかい感触。
女の証拠。
「…ん……いいよ。付き合おうか」
「ホント?」
「うん…」
胸に触れてない方の手で、塔矢を引き寄せた。
近距離で見つめあいながら――徐々に顔を傾け…目を閉じて――キスをした。
「……ん……」
生まれて初めてのキスが塔矢と。
付き合って、キスもして、これで塔矢はオレのもの?
…いや、まだだ。
もっと深い所で繋がりたい。
ゆっくりと……彼女の体をベッドに倒した―――
NEXT