●ROOM SHARE 4●
男の人と一緒に住むのは何かと不便だと気付いた。
例えば洗濯もの。
どこに干そう…といつも悩む。
ベランダなんかに干したら最後、進藤達はもちろんのこと、研究会に来てる人達全員に見られることになるだろう。
服はともかく下着なんか絶対に干せない。
あとトイレも問題。
汚物入れをどうしようかとかなり悩んだ。
予備のナプキンだってもちろん置けないし。
あとお風呂も。
お湯をはるのはいいけど、すぐに捨ててしまうのは勿体ないな…なんて。
かと言って僕が浸かったお湯に誰かが入るのも嫌だし、誰かが入ったお湯に浸かるのもちょっと…と思ってしまう。
僕って考えすぎ??
潔癖症??
「進藤はどう思う?」
「何が?」
いつものように夜打ってる時に聞いてみた。
「僕が浸かったお湯に浸かりたい?」
「はあ?何だ突然…。ていうかシャワーだけしか使ってねーから関係ないし」
「あ…そうなんだ」
ホッとしたような…ちょっとガッカリしたような。
まぁ進藤だったら浸かりたいって言っても許すけど。
「…つーかさ、毎晩打つ前に風呂に入るのやめてくれない?」
「え?どうして?」
「どうしてって…」
進藤が赤い顔して困ったように下を向いてしまった。
僕のひそかな悩殺作戦…きいてるのかな?
お風呂に入った僕はもちろんノーブラのパジャマ姿。
屈めば少し谷間も見えるし?
乳首だって浮き上がってるし。
髪だってまだ少し濡れてるし。
コンディショナーのいい香りもしない?
「進藤も入れば?打ち終わったらすぐ寝れるから便利だよ?」
「オレは朝風呂派だから…」
「そう…」
終局後―――進藤が背伸びをして立ち上がった。
偶然目に入った彼の下半身。
少し…膨らんでる?
何だかんだ言いながらも僕を女として意識してくれてるのかな?
そう思うと少し嬉しかった。
「もう寝よっかな…」
そのままベッドに腰掛けたので、僕も横に座ってみた。
驚いたように顔を向けてくる。
「え…オマエは寝ないの?」
「まだ眠くない」
「……」
「少しキミと話したい。いい?」
「……いいけど」
大きくなったソレを隠すように胡座をかいてる。
「…進藤」
「なに?」
「僕の性別、知ってる?」
「……女」
「当たり。じゃあ今更かもしれないけど、どうして僕をルームシェアに誘ったんだ?不便で仕方ないんだけど」
「え?不便…?」
「ああ。キミだって少しは感じてない?」
「オレはそんなに…。オマエを誘ったのは一番条件がよかったからだし」
「条件…?」
「うん。性格の面でも碁の面でも家事の面でも。オマエがもし男だったら、本当はオマエと二人暮しでもよかったぐらい」
「女だと駄目?」
「当たり前だろ!間違いが起きたらどうするんだよ!」
「じゃあ四人だと起きないのか?」
「―――え?」
僕が一歩分彼に近付くと、ギシッ…とベッドが響いた。
彼の手を取って―――胸にあてた。
真っ赤になる彼の顔。
僕の顔も耳まで真っ赤だ。
「塔矢…」
「……ぁ…」
本能的に揉み始める彼の手に、官能的に声を出してしまう僕。
ガチャ
「進藤、明日の森下先生の研究会なんだけどさー………って」
「あ……和谷」
「………」
「………」
固まる三人。
もし和谷君が入って来なかったら、僕らはそのまま体を合わせてしまってたのかも…?
そんなことを考えながら僕は慌てて自分の部屋に帰った―――
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