●ROOM SHARE 11●





初めて迎えた二人きりの朝。

二度目のエッチをし終わって、余韻に浸る暇もなく―――玄関のチャイムがなった




ピンポーン



「…新聞勧誘?」

「まさか。社だろう。伊角さんは鍵持っているし」

「だよな」


ガバッと二人とも急いで起き上がった。

その衝動で彼女の中から抜けたオレの下半身。


「うわっ、ごめんっ」

「い…いいよ。それよりシャワー」

塔矢は素っ裸なままバスルームに走っていき、オレはゴムを片付けた後直ぐさまリビングのインターホンに向かった。



ピッ

『おはよーさん、進藤。開けてや〜』

「来るのはえーよ!社っ!まだパジャマだっつーの!10分待て」

『もう10時やで?いつまで寝てんねん』

「うるせーよ」


オレの方も塔矢と入れ代わりでシャワーを浴び、急いで服に着替えた。













「ま、待たせたな…」

「おはよう、社…」


二人してヨロヨロの状態で出迎えたので、社がハハーンと笑って来た。


「朝からいちゃいちゃいてるとこ、邪魔して悪かったなぁ」

「べ、別にしてねーよっ!」

「そうなん?何かお前らから青臭い臭いしよるけど?」

「「え?」」


慌ててお互い匂いを嗅いでみたけど、シャワー浴びたから石鹸の匂いしかしなかった。

くそ、はめられた。

爆笑する社を、オレらはもう無視してダイニングに戻った。



「にしても、いいマンションやな〜。お、塔矢、朝メシ作るんか?俺の分もお願いしてええか?」

「構わないけど…」


手伝わずに当たり前のようにそのままテーブルにつくオレを見て、前に座った社がまたニヤニヤ笑う。


「新婚さんみたいやな〜お前ら」

「うるせーよ」

「いつから付き合っとったん?全然知らんかったわ」


そりゃ、知らないだろう。

昨日からだし。



「なんで四人暮しなん?二人で同棲の方がよかったんちゃうん?」

「んなの、親が許してくれるかよ」

「そういうもん?俺なら絶対二人で住むけどなぁ」

「オレらだってそのうちそうするよ」


チラッと塔矢の顔を見ると、もう真っ赤な茹蛸だった。

可愛い。

オープンキッチンってこういう時便利だ。

どんな顔してるのか、料理してても見えるし。









「ただいま」


朝ご飯を食べてる時に伊角さんも帰ってきて、オレらは四人で打ち合うことにした。

あと電話で他の面子も呼び出して、いつもの研究会がスタート。

今日も打って打って打ちまくった。

でも塔矢とだけは打たないで、コイツとの大切な一局だけはいつものように夜に持ち越した。









「お待たせ」

「おう、打とうぜ」


今夜も風呂上がりの塔矢。

碁盤の前に座った彼女に、打つ前にそっと…キスをした――


「…へへ、塔矢のチューもーらい」

「進藤…」

「あーあ。和谷も伊角さんも帰ってきちゃったなー」

「そうだね…」

「今日は…ダメ?」

「当たり前だ」

「…だよな」


ちぇっと舌打ちして、今夜も打ち始めた。

皆で住むのは楽しいし、勉強もしやすい。

でも、彼女との甘い時間が持てないのは不便だとつくづく思う。

社が言うように、やっぱり二人で住んだ方がいいのかも。


「…な、塔矢は同棲は嫌?」

「同居じゃなくて同棲?」

「そ。二人で住むの」

「いいけど…今はまだ早いと思う」

「まぁ付き合いだしてまだ二日目だしな。いつか、だよ。いつか。そのうち」

「うん…いいよ。今は…こうしてキミと毎晩打てるだけで満足だから」

「よし、じゃあ約束だけな。いつかは二人で住もうぜ」

「うん――」




いつか―――二人で












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