●REBORN 3●
「……え?不戦敗…?」
週刊碁を早速広げてみると――ヒカルの手合いの結果は不戦敗になっていた―。
翌週も…
そのまた翌週も…
一ヶ月以上経ってもずっと不戦敗…。
病気…?
ケガ…?
それとも…――
「……あ」
7月下旬。
ようやくヒカルの対局に白星が付いた。
相手は村上二段。
あの若獅子戦でヒカルにわずかの差で勝った者だ。
棋譜が見れないのが惜しいけれど、それだけでもヒカルの成長ぶりが十分に伺える。
良かった…。
それからは順調に勝ち続けるヒカル。
そして10月――
運命の一局が行われることになった。
塔矢アキラとの一局。
一体どちらが勝つのだろう。
ヒカル?
それとも塔矢?
知りたい…
早く知りたい…!
ヒカル…!
ヒカル!!
『佐為…』
ヒカル…。
運命の対局の晩――再び夢で私達は再会出来た。
ヒカルは嬉しそうに色々話してくれた。
塔矢との対局は残念でしたね…。
碁会所で塔矢とまた打つ約束をしたんですか?
良かったですね。
『なんで消えた?』
役目が終わったからです。
私はあの一局をあなたに見せる為に存在した…。
『消える時…悲しかった?笑ってた?』
ええ…、ヒカルと別れるのはとても悲しかったですよ…。
でも笑ってました。
あなたと過ごせた2年半はとても楽しかった。
『行くな!佐為!』
ヒカル…、この扇子をあなたにあげますね。
私とあなたが再び会えるように――
今はまだ体が思うように動かないんです。
でも次第によくなってるからもうすぐですよ。
もうすぐ会いに行きますから。
その時はまた…一緒にたくさん打ちましょう。
それまで…この扇子を私だと思って…塔矢と共に頑張って下さいね。
その時は最後に打ったあの時より、もっと強くなったあなたと打てることでしょう。
私も負けないよう頑張りますね――
「…ヒカル…」
ハッと目が覚めると、そこは病院のベッドの上だった―。
途端に…涙が溢れてくる。
早くヒカルに会いたい…―
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