●REBORN 1●
――8歳の冬に事故にあった――
目が覚めると…そこは病院のベッドの上。
横に座ってたお母さんは、信じられないものを見たかのように大きく目を見開いて…首を小刻みに振り、震える手で慌ててナースコールを押した。
駆け付けるお医者さんと看護師さん達。
泣きじゃくるお母さん。
連絡を受けたお父さんも仕事を早退して、すぐに駆け付けてくれた。
「楓ちゃん…2年半も眠ってたのよ」
「え…?」
突き付けられた現実。
8歳だった私。
でも今はもう11歳…らしい。
確かに鏡をのぞくと……少し大きくなってる。
ずっと植物人間みたいな状態だったみたい。
その証拠に…筋肉が後退して足が動かない。
「リハビリ頑張ろうね」
とお母さんが涙目で微笑んできた。
「お勉強もね」
とも言われてウッときた。
「でもしばらくはゆっくり静養しましょう。何かしたいこととか…欲しいものはある?」
『したいこと』
「碁が打ちたい…」
「え?」
『欲しいもの』
「碁盤が欲しい」
「は?」
突然言い出した私の言葉にお母さんは首を傾げた―。
でも私は囲碁がしたい。
打ちたい。
打って打って打ちまくりたい。
そして――
「ヒカルに会いたい…」
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