●WILLFUL PRINCE 2●


「―あっ…、んっ―」

下の方も指で掻き回され、何度も刺激を与えられ続けている…。

気持ち的にはもう限界…。

早く挿れてほしい―。


「…んっ―」

彼がキスをしてきた。

このキスはね、今から挿れるからっていう合図なんだ…。


「…はぁ…は…ぁ―」

お互いの息が頬にかかって気持ちいい―。


「…なぁ、塔矢ぁ」

「ん…?」

進藤が物欲しそうな目で僕を見つめてきた。

これは彼が僕におねだりする時の顔。

今度は何を求めてくる気だ??


「…生で挿れてもいい?」

「え…?」


生…?

何が…?

また進藤が僕の知らない言葉を使ってきた。

生で連想出来る言葉は……生意気、生々しい、生殺し、生温い、生身、生易しい……うーん。

キミは何がしたいんだ?

困惑してる僕の唇に人差し指を当ててきた。

「いいよな…?こっちの方がすげー気持ちいいしさ…」

そうか。

すごく気持ちいいことなのか。

それを聞いて僕は、何だかよく分からないまま

「いいよ」

と返事をしてしまった。

「サンキュ、塔矢」

もう一度軽く唇を合わせてきた。


「…あぁ…っ…!」

すぐに分け入ってきて、彼は僕を貫き始めた―。

すっかり彼用に馴染んでしまった僕の中は、抵抗することなくすんなり受け入れて――どんどん気持ちが盛り上がってくる―。

何度も何度も突き上げられて、お互い絶頂にまで近付いていった―。


…あれ?

でも…いつもと変わらないんじゃないか…?

何がすごく気持ちいいんだ?

いや、確かに気持ちよくて今にもイきそうなんだけど……でも、いつもと変わらないじゃないかっ!


「やっ、あぁ…っ、ん―」

いつものように上りつめて、僕は体を反らせた。


――その時だった

繋がっているその場所に、何かが溢れるのを感じたんだ―


え?

え?

何、この温かさ…。


「…はぁ…―」

進藤が目を瞑ったまま、気持ちよさそうに息を吐いている。


……そうか。

分かったぞ。

生というのは先ほどの連想の言葉の中の『生身』の意味に近かったんだ。

生身……つまり、あれを付けないこと。

だから、僕の中で溢れたのは彼の………。


「塔矢…好きだぜ」

頬にちゅっと音をたててキスをされた。

何がすげー気持ちいい、だ!

それはキミだけじゃないかっ!

不公平だ!

僕はプィッと顔を横に向けて、

「僕は嫌いっ」

と返した。

しかし、それが彼の火を再び点したのか、一度も抜くことなく、その後数回分を続けて溢れさせてきた―。


ようやく夜明け前に解放されてシャワーを浴びようと起き上がると、見事なまでにそれが脚に垂れてきた。

「もうっ!キミって信じられないっ!」

「ごめーん」

全然悪びれた様子もなく、笑顔で僕をバスルームに引っ張って行った。

「ちゃんと洗ってやるから」

「え?あっ、ちょっ…―」

彼の指が再び僕の中に入ってきて、丁寧に掻き出していった―。

「ごめんな…。でもオレ生でしたの初めてだから、すげェ良かった」

「あっそ」

「…怒ってる?」

「別に―」

そう言うと彼は強く抱き締めてきて、耳元で僕が大好きなそれを囁いてきた―。


「好きだよ塔矢…。愛してる―」

「………」

これを言われると、僕は全てを許してしまうんだ。


でもね、進藤。

本当に僕自身のことを愛してるなら、セックスの時以外にも言ってくれっ!

どうせキミは僕の体しか好きじゃないんだろ?!












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