●PRETTY WOMAN 7●
「お前、何してんだよ」
男に肩を抱かれてる塔矢の顔が真っ青で、オレは慌てて声をかけた。
「進藤…」
助けを求める彼女を男から引き離し――オレの後ろに隠した。
「嫌だなぁ…ちょっと肩に手を置いただけじゃないですか」
「嫌がってたのが分からないのかよ?」
「え?そうなんですか?塔矢さん」
「…えっ…と」
塔矢は優しいから口では拒否しない。
それが分かっててわざと彼女に聞く。
卑怯な野郎だ。
「進っ――」
突然オレが抱きしめてきたことに、塔矢が驚いて体を強張らせた。
「言っておくけど、こいつオレのだから。二度とちょっかい出さないでもらえる?」
「ああ…そういうことですか。残念」
そのまま客室の方に言ってしまった。
「進藤…」
「ご…ごめん、塔矢。つい…」
慌ててパッと手を離した。
「つい…?」
「ついって言うか……本心っていうか……」
「本心?」
「………っ」
彼女の腕を掴んで、ホテルの外に連れ出した。
告るなら今しかない。
息を整えて、改めて塔矢と向きあった。
「進藤…?」
「その……ずっとオマエのこと、好きだったんだ…」
「え…?」
「付き合ってほしい」
「進藤…」
言えた。
言った。
やっと伝えれたオレの想い。
真っ赤な顔になった塔矢は、コクンと頷いてくれた。
「私もキミのこと…好きだった」
「マジ?」
「うん…」
「彼女になってくれる?」
「うん…」
やった…!と心の中でガッツポーズして、直ぐさま塔矢を抱きしめた――
「オレ懇親会あるの忘れててさ…アルコール入るから星はパアになりそうなんだけど……」
「うん…?」
「でも後でどっかで二人きりになろうな…」
「うん――」
そのままキスしようかと思ったけど、オレらの横を交流会のじーさん連中が通り過ぎたので、慌ててパッと体を離した。
「じゃ…じゃあ後でな。さっきの奴には気をつけろよ。なるべく社の近くにいろよな」
「うん…。キミも…」
「オレも?」
「…ううん。何でもない…」
「?」
何か言いたげな顔だったけど、時間がなかったので慌ててオレらはお互いの客室に戻った。
「進藤!おせーよ!」
キレ気味の和谷達と合流して急いで温泉に向かった。
「…へへ」
「なに笑ってるんだ?」
「いや〜実はさ〜」
思い出すだけで、顔がにやけてきた。
和谷達にもついさっき塔矢をゲットしたことを伝えてみた。
「は?さっき…って、お前ら今まで付き合ってなかったのか?」
「うん。もう嬉しくてさ〜懇親会なんてどうでもいいかも〜早く終われ〜」
「はは…幸せなやつ」
温泉を出た後、これまた馬鹿でかい懇親会場に向かった。
ブロックごとに分かれてるテーブル。
越智はBブロックだし、和谷はC。
二人とも別れて、誰か知ってる奴いないかな〜と自分のブロックのテーブルの周りを歩いてると―――後ろから手を掴まれた。
「進藤さん♪」
「あ…葉月さん」
「一緒に飲みましょう」
「あ、はい。お願いします」
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