●PRETTY WOMAN 3●



「あ、ここだよ」

「げ…」


そうこう考えてる間に、ショッピングセンターのランジェリーショップに着いてしまった。

塔矢が逃がさないようにオレの腕をぎゅっと掴んで……中に引っ張っていく――



「ちょっと待ってて。計り直してもらってくるから」

「え?!おいっ、オレを一人にするなって!変態に思われるだろっ」

「大丈夫だよ、他にお客さんいないし。私に似合いそうなの先に選んでて」

「選べるかーーっっ!!」

…と叫んだが、結局は一人で奥の店員の元へ行ってしまった…。


ったく、冗談じゃねぇよ…。

いくら平日で他のお客が少ないからって、こんな所……いるだけでいたたまれない。

選ぶどころか直視すら出来ない…。

何が悲しくてアイツの勝負下着をオレが選ばなきゃなんねぇんだよ…。

プライベートではオレ以外の男から逃げまくってるくせに…。

絶対に着ける機会ねーよな。

そりゃ………オレとの…為に買うつもりなら、喜んで選ぶけどさ…――






「お待たせ進藤。Dの70だったよ」

「マジ?結構あるんだなオマエ…」


Dと聞いて思わず塔矢の胸をじっと見つめてしまった。

Dか…D…。

そういや谷間あるもんな…。

昔はペッタンコだったのにいつの間に…。


「そんなに見つめるな。進藤のエッチ」

塔矢が両手で隠すように胸を覆ってしまった。

「オレに下着を選ばせるつもりのオマエに言われたくねーよ。つーか男は皆エッチなの。でないと人類滅びるぜっ」

「…ふーん」

「とにかく、Dの70なんだな?さっさと買って帰ろうぜっ」

「そうだね。…で?キミはどれがいいと思う?」

「キッツい色の原色はやめとけよ。パステルカラー調の可愛いやつでいいんじゃねぇ?」

「こういうの?」

「…そうだな」

「これは?」

「…いいかも」

「こういうのは?」

「…もうなんでも」

「分かった。じゃあ試着してくるから、見てみてね」


は?


「塔矢……今なんて?」

「だから、試着してみるから、似合ってるかどうか感想を言ってくれって言ったんだ」

「……んなこと出来るわけねーだろ」

「どうして?下着も水着と同じようなものだし、別に恥ずかしがること…。奈瀬さんは彼氏に見てもらったって言ってたよ?」

「彼氏にだろ??オレはオマエの彼氏でも何でもねーしっ」

「………」


あ。

やべ。

今のはまずかったかな。

搭矢が今にも泣きだしそうな顔してやがる。

でも試着姿なんて絶対にやばいって!

ただでさえもう理性ギリギリなのに―――



「と、とにかく、オレは見ないからな!絶対っ!他の奴の意見が欲しいならプロの店員に見てもらえっ」

「………分かった」

がっかりしたように肩を落としながらも、何とか更衣室に向かってくれた。


はあ…。

彼氏でも何でもない…か。

じゃあオレはアイツの何なんだ?

ただのライバル?

友達?

それともガードマンか?

本当は……今すぐにでも彼氏になりたい。

搭矢と恋人同士になりたい。


今度のセミナーで…告ってみようかな――











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