●PARK WHITE 3●
「塔矢、14日と15日は空けとけよ」
「え?どうして…?」
「バカ。ホワイトデーだろ?どっかのホテルで一泊しようぜ」
「ホテル?」
手合いの休憩時間――早速塔矢と打ち合わせをすることにしてみた。
するとホテルと聞いた途端、塔矢の目が異様にキラキラ輝きだした。
…どうやら緒方さんが言っていたことは本当だったらしい……
「もちろんいいよ。で?どこに泊まるんだ?」
「オマエが決めていいよ」
「本当?!じゃあ僕、セントレジスに泊まってみたい!」
「……は?」
セント…レジス?
「んなホテル名…聞いたことねぇんだけど…」
「まぁ日本にはまだないからね」
塔矢がクスっと笑ってきた。
「いや、さすがに外国は無理だし…」
「冗談だよ。そうだな…じゃあ無難に新御三家あたりをお願いしようかな」
「新…御三家?」
んなホテルあったか??と首を傾げるオレを見て、塔矢がまたしてもクスクス笑い出した。
「進藤、新御三家はパークハイアットとウェスティンと椿山荘の3ホテルのことだよ」
「え?ああ…それなら聞いたこと………って――」
はぁああ?!
パーク・ハイアット?!
ウェスティン?!
椿山荘??!
「冗談だろ?!客層半端じゃねーしっ!高過ぎだしっ!全然無難じゃねーよっ!」
「じゃあマンダリン・オリエンタルでもいいよ?」
「ブッ――」
思わず吹き出しそうになってしまった。
ママママンダリンオリエンタルぅ??!
「それか丸の内のフォーシーズンズ」
「ふぉ…っ?!」
見事に都内の外資系ラグジュアリーホテルばかり陳列されてしまい、今にも意識が飛びそうになってしまった。
んな所のスィートなんか泊まれるわけねぇえっ!!
つーか普通のスタンダードルームでさえいくらすると思ってんだよ!
もちろん払えない額じゃねぇけど……でもたかが一泊する為だけに、んな何十万も払えるかぁ!!
「……塔矢、スィートでなくてもいい?」
「もちろん」
思わずホッと安堵の溜め息が出た。
「じゃ、じゃあ…その中から適当に予約しとく」
「うん。楽しみにしてるよ」
そう言ってご機嫌に対局室に帰って行った塔矢。
その晩――家に帰ったオレが即座にネットで出来るだけ安いプランを探しまくったのは…言うまでもない――
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