●PARK WHITE 2●
「は?アキラ君の欲しい物だと?」
「うん、そう…。緒方さんなら知ってそうだな〜って…」
次の日――取材の為に棋院に来ていた緒方さんを取っ捕まえて、さっそく聞いてみた。
すると煙草を吹かしながらオレを睨んできた。
「…アキラ君と付き合い出したんだってな」
「そうなんです。バレンタインデーに告られて…。で、ホワイトデーに何を返せばいいのか…経験がないからちっとも分かんなくて…」
「ふん。まぁ今まで他の女と遊ばなかったことは褒めてやる」
「…どうも」
「それで?どこに泊まるんだ?」
「……は?」
いきなりの直球の質問に……耳を疑った。
泊まる?
泊まるって…泊まるって……
それはつまり……
「知らないのか?アキラ君は根っからのホテル好きだぞ」
え…?
「下手なプレゼントより、どこかのスィートに一泊滞在の方が喜ぶに決まってる」
「そうなんだ…?で?どこのホテル?」
「それは本人に聞くんだな」
「えーーそれじゃあサプライズにならないしー…」
「バカ野郎。女は用意に煩いんだ。事前に伝えておいた方が喜ばれる可能性が高い」
「そうなんだ…?」
「もちろんそれプラス、細かなプレゼントも忘れるなよ」
「えーーそれって……」
二度手間…と言いかけた口を慌てて塞いだ。
塔矢への初めてのプレゼントに、面倒だとか言っちゃダメだよな!
それにこれはあの緒方さんのアドバイスなんだ。
タラシの。
プレイボーイの。
女性を落とすテクニックにかけては棋院一の。
「にしてもホテルかぁ…」
塔矢がホテル好きだなんて…すげぇ意外。
スィートがあるようなホテルって…オレあんまり好きじゃないんだよな…。
堅苦しいし…。
妙に緊張するし…。
服装にも気を配らなきゃなんねーし…。
でも、かと言ってビジネスホテルに泊まるわけにはいかねぇよな…。
ラブホなんか行ったら……たぶん殴られる。
(下手したらフられる…)
「…ところで進藤」
「え?あ…はい」
「経験がないからといって、アキラ君を泣かせたら許さんからな」
「……?」
「泊まるとなれば当然お前だってする気だろう?」
「そ…そりゃあまぁ………塔矢が嫌がらなければ…ですけど」
「傷付くのはいつだって女側だ。避妊…怠るなよ。それだけだ」
「………」
避妊…。
そっか…そうだよな。
するってことは……そうなる可能性もあるってことだもんな。
今妊娠したら……きっと塔矢は困る。
うん、分かったよ緒方さん。
ちゃんと付ける。
塔矢を泣かせたりしない。
でもその前に!
ホテルとその細かなプレゼントとやらを決めねぇと!!
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