●OH!MY GODLESS 2●


後で聞いた話。

レストランを襲ったあの男は捕まったらしい。

ホテルのオーナーがずいぶんと汚いやり方であの辺り一帯の土地を買収したことが原因だったとか。


でも…そんなことはどうだっていい。

問題は…


問題は……進藤があれから目を覚まさないってことだ…――











「意識がまだ戻ってないんだってな」

「…はい」


進藤が刺されてから早3日。

幸い傷が心臓から少しずれていて…一命は取りとめた。

完治までに3ヶ月程度だと医師から言われた時には、正直言って少し安心した。

後は意識が戻るだけ。

戻ったら三週間程度で退院することも可能だろうって。



……だけどその意識がなかなか戻らない……






「…進藤…」


涙を潤ます僕の肩に…緒方さんが安心さすように優しく手を置いてきた。


「大丈夫だ。進藤もこのところ仕事が詰まっていたからな。疲れを取るために体がセーブをかけてるだけかもしれん」

「だといいんですが…」


…嫌な予感が頭を過ぎる。

もう二度と…目を覚まさないんじゃないかって…。


……ううん。

大丈夫。

きっとすぐに目を覚ます。

そうだろ?進藤。

キミ…僕に触れたくて仕方がなかったんだよね?

目を覚まさないと…出来ないよ?

ね、進藤。

早く目を覚まして。

いくらでも触っていいから。

いくらでも抱いてくれて構わないから。

だから早く目を覚まして。

早く。

早く!

進藤!

進藤っ!!






「……ぅ…」



涙が…止まらない……。


「…僕の…せいです。僕が…あの男を挑発さすようなことばかり口走ったから…。大人しく後ろにいれば良かった…」

「アキラ君…」

「進藤は…僕を庇って…。本当は僕が…こうなるはずだったのに…」

「なら、進藤は今頃夢の中で喜んでいるな」

「…え?」

「好きな女を守れたんだ。男にとってそれ程嬉しいことはない」

「でも…」

「アキラ君、進藤からプロポーズされたんだろう?」

「…はい」

「承諾したんだろう?」

「…はい」

「なら絶対に進藤は起きる。コイツはそういう男だ。心配するな」

「………」


…そうだよ。

キミ…僕にプロポーズしてくれたんだよね?

結婚してくれるんだよね?

早く起きて。

早く結婚しよう。

夫婦になろう。






……だけど一週間が過ぎても……


二週間が過ぎても……


一ヶ月が過ぎても……


二ヶ月が過ぎても……


半年が過ぎても……





……進藤が目覚めることはなかった……















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