●7 DAYS LOVERS 3●
「…塔矢…好きだ…」
「うん…」
進藤から好意を持たれるのは正直嬉しい…。
でもそのことを逆手にとって、碁を強要するのは正しくないかもしれない。
でも…今の僕にはこの方法しか思い浮かばないんだ。
これでいい。
大丈夫…。
相手は進藤なんだから…。
そう考えてる間、唇が何度も合わさっていた。
体に回されていた進藤の手がパジャマの上から優しく触れてきて、自分の体が徐々に温度を増してくるのが分かる。
肩を撫でていた指先が背中に――腰に――脇腹に…、どんどん下りてきて、パジャマの隙間から手が直に肌に触れた。
「ん…」
進藤の手の動きが気になってキス所ではないのに、重ねた唇を割って、熱い感触が滑り込んでくる。
口腔内を、柔らかく舐めては貪られる。
「…ん、ん…」
強引な唇で激しくキスをされて…息が継げない…。
「あっ…」
進藤の手が胸を包んできて、刺激されたのに驚いて、思わず顔を離して背けた。
進藤の方は懲りずにまた首のあたりにキスをする。
…と同時に、パジャマのボタンを手慣れた手つきで外し始めた。
曝されてきた肌に合わせて徐々に唇も下りていく…。
「やっ…」
胸元に唇を押しつけ、乳首に舌を這わせられたことに驚いて肩が跳ねる。
そのまま舌で先端に触れて転がされる。
ボタンを外し終わったその手は、そのまま足に触れて、撫で上げながら…内側から上へと手をずらされていった…。
「し、んどう…!」
指で揉みしだかれて、恥ずかしさに耐え切れなくなり、進藤の肩を掴んだ。
逃げられない状態にどうすることも出来ず、進藤の指の動きに、もどかしく膝を折っては伸ばす。
その膝頭から上へと、撫でながら唇を這わせてきた。
「…えっ…?…やっ…ぁっ…」
内股から滑らせてきた唇で、立ち上がってしまったその先端を締め付けられた。
いきなり下肢に熱い感触を感じて、体を起こそうと手に力を入れる。
「やめっ…」
膝を広く割られてたまま口に含んで、刺激を与え続けられる。
唇をずらされて締め上げられ、体が弓なりに反った。
「…く…、んっ…」
柔らかな熱さがまとわりつく感触にいてもたってもいられない。
「やっ…あっ…」
膝を閉じようともがくのを押さえこまれて、動けない。
進藤にされるまま、ただ荒くなっていく息を飲みこんだ…。
「えっ…?ちょっ…進藤っ…!」
内側にも指が滑りこんできたのに驚いて声をあげた。
指で掻き回されて、痛くはないけれど…、もう何がなんだか分からなかった。
視界が潤んで涙目になっているのが分かる。
舌と指の感触が死ぬほど恥ずかしい…。
と同時に今まで感じたことのないぐらいの快感が押し寄せてきて、気持ちよさに堪えきれずに、進藤の髪を抱き寄せた。
もう限界だ…。
「…あっ、ん…」
体が弓なりに跳ねて――進藤の口内に放ってしまった。
――最悪…。
唇を離した進藤が口元からこぼしたそれを拭うのを、霞む視界の中に見てしまった。
恥ずかしさで死ねそうだ…。
背けている僕の顔を覗き込んできて、優しく唇を重ねてきた。
「塔矢…良かった?」
そうわざわざ訊いてくる進藤はものすごく意地が悪いと思う。
見れば分かるだろうに…。
「…信じられないよ…何で…こんな…」
と僕が話し終わらないまま、また進藤は下を触り始めた。
「ちょっ…」
狭いその中に、指を押し込まれ、内側で慎重に動かされる。
「痛かったら…言えよ…?」
「え…?」
何のことだろうと戸惑っていたら、口が耳元まで近付いてきて、教えられる。
「お前のここに…、俺の…入れるから…」
思わず顔が赤くなる。
そ、そういう意味だったのか。
ようやく男同士の方法に理解出来たことに安堵して、進藤の指の動きを感じながらぼんやりしていると、ふと我に返る。
――えぇ??
あんな所に入るなんて、想像も出来ず、それが痛くないはずはないと――血の気が一気に引いていくのが分かった。
思わず唾を飲み込む。
「―んっ…」
指が何度も出入りを繰り返し、徐々に緩く、広げられていく。
―けれど
「塔矢…力抜いて…?」
体がどうしても強張る…。
怖い…。
「そろそろ…挿れるぜ…?」
もう逃げれないと悟り、かろうじて頷いた…。
先端を当てて、体を揺らしながら…少しずつ中に入ってくる…。
「―ん…、つっ…」
…痛…い…。
引き寄せられる体を貫く鈍い痛みに、息がつまる。
「塔矢…?大丈夫…?」
体の中心を痛みと共に突き上げているそれが―苦しくてどうしようもない。
横たわったまま動けないでいる僕を、熱を帯ながらも心配そうに進藤が見てる。
「ごめんな…抜こうか…?」
もちろんそうしてほしいが、進藤も達しなければこの行為に…約束に、意味がないような気がして…
「…大丈夫…」
と言ってしまった。
半分嘘を言ってるような気がするが、我慢出来ないほどではない…。
「…塔矢…」
優しく何度も唇を押しつけてくる…。
「…好きだ…」
またそう言われて胸が熱くなる…。
「―うん…」
進藤のその気持ちはこの行為からも強く感じることが出来る。
急がず…優しく…少しずつ、深く埋められていった。
廻し合った腕でお互いの体に触れて、抱き合ううちに、徐々に痛みも遠のいていった気がした…。
「ん…、もう…動いても…大丈夫だよ…?」
そう言うと、進藤は頬にキスをして―
ゆっくりと、僕の体を気遣いながら、体を動かしていった…。
「…あっ…ぁ…」
何度も擦り上げられるうちに、痛みも忘れて…、体の中の脈打つ疼きに背を反らせた。
「…んっ、…塔…矢…」
肩にしがみついていた僕を抱き締めて、進藤も達したのか、体の中に熱いものが溢れるのを感じた…。
「…大、丈夫…?」
そう訊かれて、何とか首を縦に振る。
そして何度も…何度も、お互いに荒れた息で唇を押しつけ合った…。
「…ん…―っ…」
そのまま繋がっていたそこから、ゆっくりと引き抜かれる…。
思っていたより大変だった作業がようやく終わって、思わず溜め息が出る。
「はぁ…」
首を横に傾げて机の上の時計を見ると―、既に5時を回っている。
そういえば外も微妙に明るかった。
何をしてるんだ、僕は…。
ようやく冷静さが戻ってきて、自分のしてしまったことの重大さが徐々に感じてくる。
―進藤と…。
僕が喪失感に悩まされてると言うのに、進藤はまだ首のあたりにキスをしていた。
「んー、塔矢、好きだぜ」
ニッコリそう笑って、言われて、顔が思わず赤めく。
「わ、分かってるよ…!」
何度も言われたし…。
上に被さっていた体が横にゴロンと横たわって、僕の髪を触り始める。
進藤の顔が笑顔すぎて、戸惑う。
「――君、約束忘れてないだろうね?」
「うん…、分かってるって…。一眠りして、起きたら…な…」
僕の肩に手乗せたまま、だんだんと瞼が閉じていって…、眠ってしまった…。
僕も眠ろう…。
一晩中起きていて…。
疲れた…。
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