●7 DAYS LOVERS 2●
体を触られて、指の冷たさに驚いた僕を引き寄せて、強く抱き締めてくる。
「塔矢…」
そのまま畳に押しつけられ、進藤の体の下に敷かれた。
上から抱き締めてくる体も、息も、すごく熱い。
「え?ちょっ…」
パジャマの裾を引き上げられて、指が更に肌に触れてきた。
そのまま這い上がってきそうになったので、急いで手で押さえて抵抗する。
「待っ…」
離してと言いたかった口はまた進藤の唇で塞がれ、そのまま首筋に移動した。
「―んっ…あ…」
抵抗していた僕の手が怯んだ隙に、進藤の手が胸に触れ、先を弄んだ。
「…あっ」
意外な所を触られて思わず声が零れる。
手で刺激されて、体が突き抜けるような感覚にびくりと体が揺れた。
進藤の手で煽られていくことが恥ずかしくて、手で顔を隠す。
何でこんなことに…。
「やめて…くれ…」
ようやくそうはっきり口にすると、進藤の手が離れて体が開放される。
顔を隠していた手を支えに上半身を起こすと、いつの間にかボタンが外され、前が全開なっていたのに気が付いた。
「し、進藤…!」
急いで前を隠す。
「塔矢…、オレに触られるの嫌…?」
嫌…?
嫌かどうかはよく分からないけど…、恥ずかしい…。
相手がこの進藤だと思うとますますそう思う。
「…何で…こんなことするんだ…?」
「好きだから」
――え…?
はっきり即答されて目が見開く。
「俺…塔矢のことがずっと好きだった…。だから触りたいし、キスしたい」
「僕だって君のことが好きだよ。だけどそんなこと思ったりはしない」
はぁ…と思いっきり溜め息をつかれる。
何か間違ったことを言っただろうか。
「それはお前の好きと俺の好きは意味が違うから…。お前は俺の碁が好きなだけだろ」
う…。
そう言われると否定出来ないかもしれない。
でも碁を取った君にだっていい所はたくさんある。
第一、一緒にいて楽しいし…。
「はぁ…」
しばらく黙っているとまた溜め息をつかれてしまった。
「…もういいや。寝ようぜ」
そう言って進藤が立ち上がり、布団の敷いてある客間に向かい始めた。
「し、進藤!」
「…なんだよ」
こっちに振り向きもせず冷たく答える。
「君…、明日帰ってしまうのか?」
「あぁ」
本当は今すぐにでも帰りたいけど、と呟いたのがかすかに聞こえた。
「明日も打ってくれるよね?」
「さぁな!」
常に碁のことばかり心配してる僕に嫌気がさしたのか、イライラした口調で答えた。
「じゃあ…どうしたら打ってくれるんだ…?」
このまま明日帰してしまったら、もうしばらくは進藤と打てないような、嫌な予感がした。
「じゃあ…ヤらせろよ」
どうせ出来ないくせに、と皮肉たっぷりの顔で振り返って言った。
声は笑ってるのに、目が笑ってない。
「…いいよ…?」
思ってもなかった返事を言われたようで、進藤が顔をしかめた。
「お前…それ本気で言ってんの?」
「うん」
「意味分かってる?」
「…うん」
あんまり詳しいやり方は正直分からないけど、女性とするようなことを進藤は僕としたいんだろう。
それだけは分かる…。
「君が打ってくれるなら、僕はどんなことでもするよ」
「言っとくけど、途中でやめるのは無しだぜ?」
「いいよ」
「ふーん…」
そう言うと進藤はまた深い口付けをしてきた。
今日初めてしたのに、もう何度目になるか分からない進藤とのキスは、徐々に僕に安堵感を与えた。
「お前の部屋に行こうぜ…」
「…うん」
わざとちゅっと音をたてて頬にキスをした後、手を引っ張って僕の部屋に向かい始める。
これから何が起こるのか不安になりながらも、相手が進藤だからか…妙に気持ちが落ち着いていた。
僕の部屋には既に布団が敷かれている。
対局の後、すぐに寝れるようにと予め敷いておいたものだ。
机の上には時計があって、既に3時を回っていた。
「塔矢…」
こっちを向いた進藤が、僕を抱き寄せて言った。
「…本当に、いいんだな?」
「うん…、君が僕と明日も打ってくれるなら…」
僕は何だってする。
自然と僕も進藤の背中に手を回してみた。
「あぁ…打つよ…」
そう言って進藤はまた首筋に唇を押しつけた。
そのまま体がゆっくり布団の上に倒される。
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