●7 DAYS LOVERS 15●
「進…藤…?」
動きが急に止まって、体が疼く…。
じらさないでほしい…。
「…塔矢、交代しよっか」
「え…?」
何を?と思った瞬間進藤が体勢を変えた。
「―あっ…」
その動きにまた体が反応する。
―え…?
なに…。
繋がったまま形勢が引っくり返されて、進藤が仰向けになり、自分がその上にまたがっている。
「え…、進…藤?」
「へぇ―、下からオマエを見るってのもいいもんだな」
その言葉で顔が真っ赤になる。
「…進藤!」
この開放的な感じはすごく落ち着かない…。
前にもこういう体勢で抱き締められたことがあったけど、今は裸だし…入れられたままだし…状況が違う。
一体どういうつもりなんだ…?
すると下から進藤がキスをしてきた。
「―…ん…っ、は…ぁ」
唇を少し離して、進藤が耳元で囁く。
「…塔矢、ちょっと動いてみて?」
「え…?」
突然のことに目がきょとんとなる。
「動くって…僕が…?」
「うん」
どうやって…。
…かといって聞くのも恥ずかしいし…、進藤がやっているようにすればいいのかな…?
体を起こして、進藤の脇腹をつかみ…恐る恐るゆっくり自分の腰を動かし始めた。
今までとはまた違った感覚に背筋がぞくっとする。
「…あっ…ん…」
あまりの気持ちよさに力が抜けて、思わず進藤の上に突っ伏した。
進藤が僕の肩を持ち上げる。
「いいよ…塔矢…、もっと動いて…」
「う、うん…」
手に力を入れてしっかりと体を支え、再び動き始めた。
「…あ…っ…う…」
徐々に腰を動かすスピードを早めていく。
「…あ…ん、し…んどう…」
涙目で進藤の方を見ると、荒い呼吸でこっちを見ていた。
思わず目を逸らす。
なんとなく…この行為が自分で自分を気持良くする自慰の行為に似ていて…。
それを進藤に見られているかと思うと…恥ずかし過ぎる…。
「は…ぁ…は…ぁ」
それでもあまりの気持ちよさに頭が真っ白になって…体が止まらない―。
動く度に内蔵を圧迫される感覚に耐えきれず、喘いでしまう…。
「…あ…ん…っ」
「塔…矢…」
進藤も耐えきれないように僕の腕をつかんで、時々下から突き上げてくる。
またその予期しない突き上げにも声が上がってしまう。
「あ…っ、…は…ぁ…」
進藤と同じ間隔で呼吸をしていると、本当にひとつになれたような気がして…―
嬉しい…。
「…好きだよ…進藤…」
自然と出たその言葉に、進藤が呼吸を止めた。
「…塔矢…、今…」
進藤の手が腕を掴み、上半身を起こしてきた。
「塔矢…?」
ほんの数cmの所にまで顔を近付けられ、思わず唇を合わせてみる。
「…はぁ、塔矢…」
進藤は先ほどの僕の言葉をもう一度聞きたいみたいで必死だ。
腕を進藤の背中に回して、胸に顔を沈めて…もう一度囁いた。
「…好きだよ…」
進藤にぎゅっと抱き締め返される。
「オレも…好きだ」
そういうと、布団に押しつけられ、元の体勢に戻される。
自分で僕を絶頂にまで導きたいみたいに―。
「塔矢…」
何度も…何度もキスされて口の中を貪られる。
「―ん…んっ…」
同時に丹念に体を動かされ、激しく揺さぶられる。
「―…あ…ぁ、っん」
一瞬僕が早く放ち、すぐに進藤も僕の中に溢れさせた――。
「塔矢…、オレのこと…いつから好きだったんだ?」
まどろんでいる中、髪を触りながら進藤が聞いてきた。
「…昨日…かな」
たぶん、そうだ。
ずっと昔からキミに夢中だったけど、キミ自身を好きかもしれないと自覚したのは…昨日だ。
「昨日?もっと早く言ってくれよー。1日損したぜ」
何だそれは…。
「あー…だからオマエ、今朝から少しおかしかったのか」
「え?変だった?」
「うん、自分からキスしてくるし…、あーあの時気付けば良かった」
進藤が後悔で布団の中に潜り込んだ。
別に1日くらいいいじゃないか。
僕の方は…言うつもりなかったし…。
「でもこれで晴れてオマエと両思いだな」
進藤が笑顔で布団の中から顔を出した。
「すげー嬉しい」
そういうものなのかな…。
今までとたいして変わらないと思うけど…。
「塔矢塔矢、キスして?」
顔を近付けて唇を指差してきた。
「……」
そっと合わせてみる…。
暖かい…。
油断してたら、ぐいっと深く押しつけられた。
「―…んっ…」
僕はこのキスに弱い…。
「…っ、もう!キミは!」
「だってオマエのキスって甘々なんだもん」
なんだそれは。
「キミは…ずいぶんこういうことに詳しいよね…。どこで覚えてくるの?」
「どこでって…」
「まさか…実践?」
誰かと…。
「まさか!オレ…オマエが初めてだし…。今までだってずっとオマエと碁のことばかりで…他のやつなんて目に入らなかったし…」
なら…いいんだけど。
「ほら、本とかにも書いてあるしさ」
「エッチな本…?」
「まぁ…それもあるけど、普通のファッション雑誌とか週刊誌にも書いてるんだぜ?オマエはあんまり読まなさそうだけど…」
「……」
悪かったね。
「まぁ男女のことしか書いてないけどな。でも男も途中までたいして変わんないし…。…というか…」
「というか、何?」
言葉に詰まった進藤を責め立てる。
まだ何かあるんだろうか…。
進藤がチラッとこっちを見て、向こうに体を向けた。
顔が耳まで赤くなってる。
「オマエの場合…、夢ん中で何度も実践したし…」
え…
「何…度…も?」
僕を…?
そう言われて僕の方も顔が赤くなる。
「そ!何度も!」
進藤がヤケになったように付け加える。
「オマエ知ってた?オレ…お前のこと夢ん中じゃ何十回も犯してんだぜ…中学の時から…」
その言葉にぎょっとなる。
「し、知るわけないだろ!キミの夢の話なんか!…何十…回?中学…?」
百回はかろうじていってないと思う…と進藤が笑いながら付け足す。
「…軽蔑した…?」
「軽蔑というか…何と言うか…」
絶句状態だ。
「…だから、ちょっとやそっとのことじゃ絶対お前を手放したりしないからな。覚悟しとけよ」
「う、うん…」
喜んでいいのか、どうなのか…微妙だ。
そして進藤の顔がまた近付いてきた。
「―…ん…」
僕はこの口付けが大好きだ…―。
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