●MEIJIN 4●
佐為と一緒にお風呂に入るのは初めてではない。
私達が初めて結ばれた十段戦の後。
あの翌朝もホテルのお風呂に一緒に入った。
あの時ももちろん緊張したけど、今日はそれ以上に緊張する。
それはきっと、前回は「事後」だったけど、今回は違うからだ。
脱衣場でお互い無言で服を脱いで裸になる。
私は長い髪の毛をヘアゴムでお団子にして束ねた。
露になったうなじに後ろからチュッとキスされる。
「…ぁ…佐為…」
「じゃ、入ろうか…精菜」
「う、うん…」
手を取って、中に連れて行かれる。
進藤家のお風呂は、一般的な家庭のお風呂よりはかなり広いと思う。
私がこのお風呂に入るのは何回目だろう。
彩の部屋で昔お泊まり会をした時はもちろん毎回借りていた。
でも今までは彩と入ったり、一人で入ってたから……もちろんこんな状況は初めてだ。
「精菜、おいで」
「うん…」
一緒に湯船の中に入る。
この浴槽もかなり広い。
きっと私みたいな女の子だったら3人でも余裕で入れる広さだ。
でもどんなに広くても今は意味がない。
だってだってだって、今の私は彼の脚の上に跨がって座らされて、腰に手を回されて密着してて――早速キスしてるんだもん!!
「――ん…、んん…」
この状況でこの深過ぎるキスはヤバいと思う。
とろんとしてきて…思考がおかしくなる。
どうでもよくなってくる。
「……は…ぁ…」
「精…菜…」
「……ぁ…っ」
口から首筋に移動した彼の唇。
同時に胸も揉まれて、先端を弄られる。
場所がベッドからお風呂に変わっただけで、していることはさっきの続きそのもの。
だから次第に胸だけじゃなくて、下半身にも彼の手が伸びてくる。
お湯の中なのに、触られると自分のアソコが濡れてくるのが分かる。
「……は…ぁ……佐…為…」
「精菜……」
気持ちいい。
もっと気持ちよくなりたい。
早く彼と一つになりたい。
そんなことを思ってしまう危険な状況。
「ヤバいな……」
「うん……」
佐為も今の状況がかなり危険だと気付いたらしい。
これがもしベッドの上だったら確実に私達はすぐにでも挿れているだろう。
もちろん湯船の中だってしようと思えば出来る。
じゃあ何が危険かって、それはもちろん、湯船の中じゃゴムが付けれないってことだ。
「どうしよう……めちゃくちゃ挿れたい…」
「うん……」
「どうする…?」
「挿れちゃう…?」
「いやいやいや…それはダメだよ」
「じゃあ…触る?」
既に大きくなってる彼のものに私は手を伸ばした。
優しく触ってしごいていく。
彼の方も、私の中を指で掻き回したり出し入れしたりしてくる。
しばらく続けているとお互い息が荒くなってくる。
もう……ダメかも……
私の体はドクンと上り詰めて、頭が真っ白になった。
彼の方も達したらしく、脱力している。
「は…ぁ…佐為…」
「精菜……」
私達はもう一度…荒い息のまま唇を合わせてキスをした――
ひとまずこれで思考は正常に戻ったわけだから、その後は本来の目的である体や髪を洗うことにした。
私が先に洗ってる間、佐為にじっと見詰められててちょっと恥ずかしい。
な、何か話さなくちゃ耐えられない……
「そ、そういえば私ね、名人戦の第3局の聞き手になれそう」
「え?本当に?」
「うん♪すごく嬉しい。4日も一緒にいられるね」
「そうだな…。でも第3局の解説って確か緒方先生だよな」
え?!
「そうなの?!」
「うん…第4局までの解説はもう決まってるから。第1局がお父さんで、第2局が伊角先生。で、第3局が緒方先生で、第4局が確か社先生」
「そうなんだ……ちょっとやだな」
「まぁ家族と仕事はやりづらいよな。でも精菜が近くで応援してくれるなんてすごく嬉しいよ」
にこっと笑われる。
ドキッとした。
私は昔から佐為の笑顔に弱い。
私が一番好きな彼の表情だ。
普段あんまり見せてくれないから、今みたいに不意打ちのように見せられるとすごくドキドキする。
私が洗い終わった後、今度は佐為が洗い出す。
さっきのお返しと言わんばかりに私もじっと見詰めてやった。
今17歳の佐為。
17歳の男の子の体つきはもう完璧大人と同じだ。
私とは全然違う筋肉の付き方。
引き締まっていて、キレイで、ずっと見ていても飽きない。
裸でもものすごくカッコいい。
シャワーシーンなんてヤバい。
鼻血が出そうだ。
「……精菜、あんまり見るなよ。何か緊張する」
「えー、だってカッコいいんだもん。惚れ惚れしちゃう」
「そうか?西条や京田さんの方がよっぽどいい体つきしてたけどな」
「そうなの?あ、温泉で見たんだ?」
「うん。二人とも身長も180あるしな、普通に羨ましいよ」
「でも温泉楽しかったね。男子は温泉でどんな話してたの?」
「話?いや…ほぼ碁の話しかしてないけど」
「えー、そうなの?せっかくの機会なのに勿体ない」
「じゃあ女子はどんな話してたんだよ?」
「ふふふ〜♪」
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