●TIME LIMIT〜結婚編〜 2●


「お母さんキレーイ」

「ありがとう。千明ちゃんも可愛いよ」

「えへへ」


おじいちゃん達から結婚の許しが出た直後に入籍したお父さんとお母さん。

今日は待ちに待った二人の結婚式。

ホテルの教会で、家族だけで挙げる小さな式だけど、ウェディング・ドレスに着替えたお母さんはすごくキレイだ。

見るや否や、お父さんが思わずキスしちゃうぐらい。


「やべ、口紅付いた」

と慌ててティッシュで口を拭くお父さんも今日はすごくカッコよく見える。

早からラブラブしてる二人を置いて控え室を出ると、両方のおじいちゃん・おばあちゃんが挨拶も兼ねて雑談していた。


「もうヒカルには昔から驚かされてばかりで…」

「あら、そっちの方が楽しいと思いますわ。アキラさんなんて碁にしか興味を持ってくれなくて、昔から一日中碁盤の前に座ってるんですから」

誰に似たんだか…とおばあちゃんがおじいちゃんに視線を向けた。

そのおじいちゃんはお父さん側の曾おじいちゃんとまたしても囲碁の話で盛り上がってる。


「千明ちゃん、お母さん準備終わった?」

と私に話しかけてくれたのはもう一人のおじいちゃん。

このおじいちゃんの顔を見る限りでは……お父さんはおじいちゃん似なんだなって思う。

すごくカッコいいし。

「うん。終わったみたいだよ」

「じゃあそろそろかな。千明ちゃんがベール持つんだって?」

「うん!」


あの長いお母さんのベールを持つのが私のお仕事。

皆が見守る中、おじいちゃんの腕に添えてバージンロードを進んで行くお母さん。

向かう先はお父さんの待つ教壇の前。

近くまで来ると手を差し出すお父さん。

その手を取るお母さん。

二人とも…すごく幸せそう。

外国人の神父さんが微妙に流暢な日本語でお父さんとお母さんに問うお決まりの台詞。

お互いに


「誓います」


と言って晴れて夫婦になった。

指輪の交換もして、キスもして、それだけじゃ物足りないみたいにお父さんはお母さんをぎゅっと抱き締めた―。

皆の見てる目前で幸せそうに抱き付く二人。


いいな…。

私もいつか…こんな結婚がしたい。

お父さんとお母さんみたいに、生涯でたった一人だけの伴侶を見つけて…一緒に一生歩んで行くの。

幸せな家庭を築いていくの。

お父さん達のその家庭には私も入ってる。


ほんの数日前まで8年以上も会ってなかった二人。

でもきっと何年も前からお互いこうなることを夢見てたんだよね?

そのきっかけをくれたのは私だって嬉しそうに話してくれた。



お幸せにね。


お父さん、お母さん…――

















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