●LOCAL EVENT 5●





もう嫌だ。

昨日から何なのこの人!



「人気者の彼氏を持つと大変やな」

「別に」

「あんな奴やめて俺に乗り換えへん?」

「結構です」


冷たくあしらってるのに、本当にしつこい。

無視して移動しようとしたら、手首を捕まれた。


「まぁまぁそんなに怒らんといてや」

「…離して下さい」

「お昼一緒に食べてくれるなら離してもええよ」

「はぁ?」


もうキレそうだった。

我慢の限界だ。


アソコでも蹴飛ばしてやろうかと思ったその時――



「大久保さんすみません。この手、離して貰えますか?」


と佐為が強引に手を払ってくれた。

自由になった私は直ぐ様佐為の後ろに隠れる。


「何や、進藤君来たんか。向こうで女の子に囲まれとけばいいのに」

「人の彼女に勝手に触らないで貰えますか?」

「彼女ねぇ…。ずいぶん前から噂になってるけど、一体いつから付き合いよん?」

「あなたに教える筋合いはありませんから」

「恐っ、ちょっと聞いてみただけやん。冗談の通じん奴やなぁ」

「失礼します」


佐為が私の手を取って、そのまま会場を出た。





誰もいない控え室に着くと、

「精菜、大丈夫か?」

と優しい声で顔を覗きこんできた。


「うん…ありがとう、助けてくれて」

「当たり前だって」

よしよしと頭を撫でられる。


「…イベントって苦手。お客さんとかにさっきみたいに言い寄られると、どうしたらいいのか分からなくなる…」

「そうだよな…。ごめんな、誘っちゃって」

「ううん」



そう――本当はこのイベントに呼ばれていたのは私ではなく彩だった。

兄妹のペア碁を主催側は当初リクエストしてきていた。

でも佐為が「一緒に組むのが緒方女流四段なら出てもいいですよ」と条件を出したから、主催側もそれに従う形となったのだ。

おまけに手伝いの棋士まで西条さんと金森さんもと名指ししたらしい。


全ては昨夜の為。

こういう小細工でもしない限り、二人きりになる時間すら取れない私達。

何だか切なくなる……



「佐為、今夜も部屋変わって貰おう…?」

「え?」

「金森さんも全然OKって言ってたよ。私、まだまだ足りない。もっともっと佐為と触れ合いたい…」

「精菜…」

「佐為は違うの?昨夜だけで満足しちゃった?」

「まさか」


佐為が苦笑する。

でもって、「出来るなら今すぐここで続きをしたい気分だよ」と耳打ちされる。

もちろんこんなところで出来る訳がないから。

とりあえず私達は誰かが来るまでのちょっとの間だけ、キスをすることにした――












「ほな進藤、明日は8時に来るわな」

「ああ」

「今度は寝坊せんといてよ」

「……ごめん」



夜、私は再び西条君に部屋を変わって貰って佐為の部屋に来た。

今朝寝坊したことになってる私達。

でも本当は寝坊なんてしてない。

朝っぱらからイチャイチャしていて、気付いたら7時になってしまっていたんだ。

ピンポーンとチャイムが鳴った時はまさに本番中で、上り詰める一歩手前だった。

でも泣く泣く私の体を離して、急いでシャツを着てズボンを穿いて佐為はドアに向かったのだった。

不完全燃焼で終わった今朝。

その続きをする為に、私達は直ぐ様ベッドの上に移動して唇を合わせた。


「――…ん、…んんっ、…ん…」


口内を探り合って徐々に深く交ざり合っていく大人のキス。

こんなキスは小5からしてるけど、一線を越えてからは私の体への感じ方が全然違う。

体が直ぐに火照ってきて、下半身も勝手に濡れてくる。

もうキスだけで佐為を受け入れる準備が出来ていく。


「……は…ぁ」


でも彼はどんなに余裕が無くても前戯を怠らない。

口を離した後はすぐに首筋に移動して、キスしたり舐めたり痕を付けたり忙しい。

いつの間にか成長し過ぎた私のこの大きな胸も、隅から隅まで触って弄ってくれる。

先端を口に含まれると何とも言えない感覚が私を襲う。


「…ぁ…佐…為」

「気持ちいい…?」

「うん……」


すると直ぐに下半身にも手を伸ばされて、秘部を弄られる。

勝手に開いていく脚。

恥ずかしい音が部屋に響き渡る。

きっと私、めちゃくちゃ濡れてる。

きっともう、普通に受け入れられると思う。

彼ももう分かってるのか、一度体を離されて、準備に取りかかる。

昨日から何回目になるんだろうか。

何個使ったんだろう。

一箱何個入りなんだろう。

今夜足りるのかな…とか要らない心配をしてみたり。


「精菜……」

「ん……」


もう一度キスした後、彼が入ってきた。

あり得ないくらい濡れてるから、余裕で一気に奥まで入る。

最初から快楽だけが私を襲ってくる。

でも声は出せないから、私は手で口を押さえて我慢した。

途中でその手を剥がされて、キスで口を塞がれる。


「……ん…ん…」


でも相変わらず体は巧みに動いていて、絶頂まで導かれる。

佐為ももう限界なのか、徐々にスピードが上がっていく。


「――…ん…っ」


ドクンと体が跳ねて、私の頭は真っ白になった。

彼の方も達したのか、動きが止まって…脱力してくる。

そんな彼の背中に手を回してぎゅっと抱き付いた。


「は…ぁ……佐為、私幸せ…」

「精菜…」

「もう触り合うだけで満足してた私達には戻れないね…」

「うん…同感だ」



少しだけ休憩して、もう一回しようね。

明日は帰るだけだし、私は一晩中起きてても平気だよ。

なーんてね。










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