●LOCAL EVENT 4●





「おはよ…悠一君」

「ん…おはよ、奈央」



翌朝。

裸で抱き締め合ったままの状態で私達は目を覚ました。

緒方さんが悠一君と部屋を変わってくれたから、一晩中彼と一緒にいられた。

幸せ過ぎて顔がニヤけてしまう。


「どしたん?」

「ううん、幸せだな〜って思って」

「そやね。そろそろ起きる?7時には進藤の部屋に戻らな」

「そうなの?」

「誰にも見られんうちにな」


イベントは今日は10時からだから、確かに7時だとまだ誰も起きてないだろう。

時計を見ると6時半だった。


「シャワー借りてもいい?」

「うん、もちろん」


悠一君がベッドから降りた。

それが素っ裸だったものだから、私は慌てて反対側を向いた。

いかにも事後の翌朝って感じで恥ずかしかった。

ちなみにベッドの回りを見てみると、服も散乱してるし、ゴムの袋は落ちてるし、慌てて私はそれらを片付けた。

(緒方さんが帰って来たら恥ずかし過ぎる…)


進藤君と緒方さんも無事出来たんだろうか。

ちなみに帰るのは明日だ。

今夜はどうするんだろう……と、ふと思った。

出来たら今夜も部屋をチェンジしてくれないかなぁ…なんて、思ってしまう自分の淫乱さに眩暈がする。


悠一君と付き合い始めて5年目になるけど、私達は今でもラブラブだ。

私は相変わらず悠一君が好きで好きでたまらない。

でもって悠一君からもめちゃくちゃ愛されてる気がする。

いや、気がするじゃなくて、絶対に愛されてる自信がある。

両想いって幸せだvv




「奈央もシャワー浴びてきたら?」


悠一君がバスタオル一枚だけを腰に巻き付けて浴室から出てきた。

きゃー!そんな格好で私の前に現れないで!

(襲いたくなるわ!)


急いで浴室に駆け込んで、私もシャワーを浴びた。

浴室から出ると、悠一君はちゃんと服を着ていて、いつでも進藤君の部屋に戻れる格好になっていた。

私が髪を乾かし終えた頃にちょうど7時になって、どうせだから4人で朝ご飯でも食べに行こうと、私も一緒に進藤君の部屋に付いて行った。







ピンポーン


チャイムを鳴らして待つこと1分。

「ん?まだ寝とんかいな」

ともう一度悠一君がチャイムを鳴らそうとしたところでドアが少しだけ開いた。


「…ごめん、西条。今起きた。5分待ってくれる?」

「ええけど…」


進藤君は本当に寝起きみたいで、慌てて着たらしいシャツのボタンはほとんど留まってなくて、髪も少し跳ねていた。

(え?私、もしかして王子の寝起きショット見ちゃった感じ?)

ちょっとドキドキした。


5分後、約束通り再びドアが開いて、今度は緒方さんが出てきた。

ひとまずルームキーを悠一君とチェンジして、今日の服に着替えたいという彼女と一緒に自分達の部屋に戻った。



「…金森さんは佐為が中1の頃から西条さんと付き合ってるんでしたっけ?」


着替えながら彼女が聞いてきた。

ちなみにチラッと見えたけど、緒方さんの体にはキスマークがたくさん付いていた。

きゃー


「う、うん。そうだね。もう5年目かな…?」

「じゃあもう…たくさんエッチしてるんですか?」

「え?!」

朝っぱらからそんな質問されて、私の顔は真っ赤になってしまった。


「うーん…たくさんしてるのかな?月に2回くらいだからそんなに多くないと思うけど…」

「でも月に2回で5年も付き合ってるんだったら、単純計算でもう100回くらいしたってことですよね?」

「そ、そんなにしたかな…?してないような…したような…」


改めて言われるとすごい数だ。


「いいなぁ…」とボソリと緒方さんが呟いた。

「緒方さん達もこれからだよ。あ、何なら今夜も部屋変わったら?」

「…いいんですか?」

「私と悠一君は全然OKだよ!」

「じゃあ…佐為に聞いてみます」

緒方さんの口元が少し笑った。



着替え終わった後、悠一君達と合流して4人で一階のビュッフェに朝ご飯を食べに行った。

囲碁フェスティバルの関係者もチラホラいた。



そして10時からイベントの2日目が予定通りスタートした。

私や悠一君の仕事は今日も一日指導碁。

公開対局は進藤君と大久保七段で、解説が元木九段、聞き手が緒方さんだった。

もちろん昨日の一件があるから進藤君はタイトル戦並のマジモードで、常に攻められ続け大久保七段は本気で焦っていた。(いい気味だ)

公開対局を見に来た人はイコール進藤十段を見に来た人ばかりと言っても過言ではない。

囲碁好きのおじいさんおばあさんももちろん多かったけど、若い女の子のお客さんも結構いた。

彼は相変わらず大人気で、公開対局後にフリーになると、とりあえずサイン攻めと写真攻めにあっていた。

緒方さんも心配だろうな…とチラリと彼女の方を見ると、また大久保七段に言い寄られていた!

大変!と悠一君の方を見ると、悠一君は指導碁に集中していて気付いていない。

ど、どうしようと慌てていると――


ファンを振り切ったらしい進藤君が二人の方に向かって行くのが見えた――










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